最近のメディアでの議論から判断するに、2024年の米大統領選挙は「忍び寄る認知症と激しい精神病質の闘い」として要約できる。しかし、そこではもっと大きなものが争われている。西側諸国の未来だ。ジョー・バイデン大統領は欧州の安全保障が、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ侵攻を阻止することにかかっていると考えている。ドナルド・トランプ前米大統領はウクライナの運命について、よく言っても無関心だ。バイデン氏は北大西洋条約機構(NATO)が米国と欧州の安全保障の要だと考えているが、トランプ氏はNATOについて、自衛力を備えるべき裕福な国に福祉を与えるようなものだと見なしている。米議会共和党は昨年秋、ウクライナへの支援継続を支持する条件として、米南部国境の警備に関する政策を変更し、それを法律に明記することを求めた。上院の交渉担当者たちは4カ月にわたる苦労の末、支援実現のために警備を強化する法案を作成したが、法案はトランプ氏に反対され、4日足らずで否決された。同氏は解決策ではなく問題を望んでいる。上院は最近、対ウクライナ支援を盛り込んだ法案を、超党派の支持により70対29の賛成多数で可決したが、国境警備強化を含まないこの法案が下院で可決される可能性は低い。