法律の勉強で結果が出にくいのは、あなたが法律の学習方法やアプローチを間違えていただけかもしれないのです。『元法制局キャリアが教える法律を読む技術・学ぶ技術』の中から、効率的で挫折知らずの法律学習法を紹介します。学者でもない、弁護士でもない法律を作っていた人だからこそわかる、意外性のある法律学習のツボとは?(初出:2016年6月15日)

元法制局キャリアが教える、効率的で挫折知らずの法律学習法【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

 一生懸命、法律を学んだけれども身につかなかった。そんな経験を持つ人も多いかもしれません。「それは法律を覚えようとしていた」からではありませんか? 法律を通じて得るべきものは知識ではありません。正義と公平のセンス(感覚)なのです。「リーガルマインド」と呼ばれるものがそれです。

 ある野球選手が「何百回、何千回もバッターボックスに立っているとストライクゾーンが自然に見えてくる」と言っていましたが、リーガルマインドは、たくさんの法律や条文を通じて身についた正義と公平のストライクゾーンの感覚です。

 リーガルマインドを身につければ、物事を筋道立てて考えることができるようになりますし、多くの人が支持する結論を自然と導くことができるようになります。ただ漫然と法律を勉強していても、リーガルマインドは身につきません。リーガルマインドを養うには、まず、「楽しんで学ぶ」ということです。

「法律は考えるゲーム」なのです。たとえば、好きな人ができて、少しずつお互いの距離が縮まっていく、そんなときの楽しさを思い起こしてください。好きな人の好みをあれこれ考えて先回りする楽しさ。これって、恋する者の喜びですよね。あれこれ考えて、選んだプレゼントが喜ばれる。自分までホクホクと嬉しくなる。実は、法律を理解するための読み解きも、これに似た楽しさと喜びを与えてくれるものなのです。

覚えるのは条文の内容ではなく
法律を読み解くための基本的なルール

 そのとき、重要なのが、その法律が実現しようとする価値を考えることです。実現しようとする価値は何か、また、その法律はその価値をどのように実現しようとしているのかを考えることです。法律が実現しようとする価値から、それぞれの規定の意味を明らかにしていくことを「法律の読み解き」と呼んでいますが、この読み解きこそ、楽しく、リーガルマインドを手にいれるための方法なのです。