もう1つ、面白いデータをご紹介しましょう。図3をご覧ください。

図3_米国S&P500の上昇の確率(1928年~2022年)図3 米国S&P500の上昇の確率(1928年~2022年)。同書より 拡大画像表示

 このグラフは、1928年から2022年までの期間を対象に、S&P500というアメリカ株の代表的な株価指数について、「投資してプラスになる確率」を投資期間ごとに示したものです。

 この95年分のデータが何を示しているのか、一緒に見ていきましょう。

 たとえばS&P500に1日だけ投資した場合、儲かった確率は53%ということです。株価指数は上がったり下がったりを繰り返すものですが、1日だけに賭けると、勝つか負けるかは、ほぼ五分五分だったわけです。

 では、買ってから売るまでの投資期間を少しずつ延ばしていくと、どうなるでしょうか。

 S&P500を買って1カ月後に売却した場合、儲かった確率が62%に上がっていることが見て取れます。そして保有期間を延ばせば延ばすほど儲かる確率は高まり、10年保有すれば94%、15年保有すれば98%、20年を超えると「100%儲かる」という結果になっているのです。

 過去95年間のデータで「10年保有すれば、94%の確率で儲かっていた」「20年以上保有すれば、100%儲かっていた」というのは、これから長期投資をする人にとって心強い結果です。

 もちろん、過去のデータは将来の運用成績を約束するものではありません。しかし、長期投資の効果を予測するうえでは参考になります。

「長期投資をしましょう」というと、よく「長期投資とは何年くらいですか?」と尋ねられるのですが、私はこれらのデータから、「10年以上」が1つの目安だと考えています。

 私を含め、50代の人が「人生100年時代」を生きるとすれば、これから40~50年もの時間があります。少なくとも20年後に70代になっている自分、30年後に80代になっている自分については、現実的に想像してみることができるでしょう。

 長期投資を始めるのに、50代では遅すぎるということはなく、むしろ家計に余裕が生まれる50代からこそ「運用の始めどき」といってもいいかもしれません。