30代で東証プライム上場企業の執行役員CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)となった石戸亮氏が、初の著書『CDO思考 日本企業に革命を起こす行動と習慣』(ダイヤモンド社)で、デジタル人材の理想的なキャリアについて述べています。
デジタル人材は、ビジネスの現場でどのように求められているのか。
本当に需要のあるデジタル人材として成長するためには、どんなスキルを身につければいいのか。
デジタル人材を喉から手が出るほど欲している企業に迎え入れられ、そこで重用されるには、どんな行動を取ればいいのか。
本連載では、デジタル人材として成長するためのTo Doを紹介していきます。

【CDOの考え】今月、新しいサービスをいくつ使いましたか?Photo: Adobe Stock

そのサービスの良かったところは?

「デジタル人材にどうやったらなれますか」と聞いてくる方に限って、こちらが「今月、何か新しいデジタルのサービスを使いましたか?」と聞くと、「いえ、特に」とか「LINEは使っていますが……」と返ってきます。
 一方、デジタルの感度が高い方、アンテナをきちんと張っている方ほど、月に数個は新しいアプリをインストールしたりサービスを使ってみたりして、自分なりに面白そうだと思う機能をチェックしているようです。

 あなたが営業部だろうが、マーケティング部であろうが、人事部であろうが、つまりデジタル専門部門やシステム部門でなくても、まずは月にひとつでいいので、自分の生活の中で使いたいと思うスマホアプリなどを新規にインストールしてみてください。そして、そのアプリのどこが使いやすいのか、どこが使いにくいのか、それぞれの理由は何かを、考察して書き出してみてください。

 これを半年なり1年なり続けると、かなりいい感じに勘所がつかめてきます。このUIやUXはなぜこんなにも快適なのか、一方、別のUIやUXはなぜイライラするのかが、体験を伴って言語化できるようになり、驚くほど高いデジタル感度を獲得できます。
 こういうことをやっていない人が、業務上の必要でいきなりUI/UXデザイナーやソフトウェアエンジニアと話をしても、必ず彼らから「この人、わかっていないな」と思われます。そもそもよいサービスもできないと思います。しかし、毎月のように新しいアプリに触れていると、「△△というアプリの最近のアップデート、すごいですよね」などという会話が自然にできるようになるので、デザイナーやソフトウェアエンジニアからも「ああ、わかっているな」という印象をもたれます。

 こうなると、いざ社内でDXの号令がかかった際、業務がスムーズに行くこと間違いなしです。表面的なことではありますが、コミュニケーションのとっかかりとして「会話ができる」は軽視すべきではありません。
 実際に新規事業やサービス開発に携わる時におのずと目利きができていて、サービスの良し悪しをユーザー視点で判断でき、よいサービスづくりができると思います。

※本稿は『CDO思考 日本企業に革命を起こす行動と習慣』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。