30代で東証プライム上場企業の執行役員CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)となった石戸亮氏が、初の著書『CDO思考 日本企業に革命を起こす行動と習慣』(ダイヤモンド社)で、デジタル人材の理想的なキャリアについて述べています。
デジタル人材は、ビジネスの現場でどのように求められているのか。
本当に需要のあるデジタル人材として成長するためには、どんなスキルを身につければいいのか。
デジタル人材を喉から手が出るほど欲している企業に迎え入れられ、そこで重用されるには、どんな行動を取ればいいのか。
本連載では、デジタル人材として成長するためのTo Doを紹介していきます。
店長はデジタル人材である
私は小林製薬の執行役員であると同時に、入社前から兼業で飲食店のオーナーもやっているのでわかるのですが、昨今の個人店の「店長」は、完全にデジタル人材と呼べる人がたくさんいます。
なぜかというと、たとえばうちの店の店長であれば、自分でお店の宣伝のためのSNSを投稿して、いいね数や閲覧数などの反応を数値的に見て、Canva(無料から使えるオンラインのグラフィックデザインツール)を使ってSNS投稿画像を作って、自分でLINE公式アカウントを開設して、自分でAirレジ(無料からiPadとネット環境があれば導入できるPOSレジアプリ)をつなげて、freee(無料から使えるクラウド会計ソフト。決算書作成や確定申告も簡単に行える)と連携して売上と仕入れを管理し、アルバイトは自分でタイミー(隙間時間を使ってアルバイト希望者をマッチングさせるアプリ)を使って手配しているんですから!
大手企業だったら、宣伝部、デザイン部、財務部、人事部でやるような業務を、一人でほぼ全てデジタルを活用し尽くして実行しているわけです。
大手企業でよく耳にするのは「自分はシステム部ではないので、会計のシステムは難しくてわかりません」とか「私、デジタルマーケティング部門に所属したことがないのでSNSは詳しくないです」、「自分は人事部ではないので採用は人事に任せていますが、最近なかなか採用がうまくいっていないと感じます」という台詞です。そう言われたら、私はすかさずこう言います。「それ、うちの店長が全部毎日していることなんで、手伝うとすぐわかりますよ」って。
これは冗談でもなんでもなく、デジタルスキルを本気で磨きたいのであれば、まずはその第一歩として、行きつけのカフェや美容室や歯科医院、あるいは地元の友達がやっている飲食店などを「手伝う」のがおすすめです。
行きつけのカフェのオーナーに、「最近、アルバイトが辞めちゃって、毎日のレジ締めが大変なんだよね」と言われたら「頑張って『freee』入れてみましょうか」と導入を手伝う。かかりつけの歯医者さんが「最近、お客さんが減っちゃって」とこぼしていたら、「じゃあSNSやグーグルマップのビジネスプロフィールでも開設して宣伝に協力しましょうか」と言ってSNSの運用を担当する。ものすごく勉強になるし、ものすごくスキルが付くと思います。
※本稿は『CDO思考 日本企業に革命を起こす行動と習慣』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。