30代で東証プライム上場企業の執行役員CDOとなった石戸亮氏が、初の著書『CDO思考 日本企業に革命を起こす行動と習慣』(ダイヤモンド社)で、デジタル人材の理想的なキャリアについて述べています。
デジタル人材は、ビジネスの現場でどのように求められているのか。
本当に需要のあるデジタル人材として成長するためには、どんなスキルを身につければいいのか。
デジタル人材を喉から手が出るほど欲している企業に迎え入れられ、そこで重用されるには、どんな行動を取ればいいのか。
本連載では、デジタル人材として成長するためのTo Doを紹介していきます。
アクセンチュアの採用募集要項
「プログラミング」の能力は、デジタル人材に必須なのでしょうか?
ここで、世界的なコンサルティングファームであるアクセンチュアが2023年に行っていた、とある人材募集要項を見てみましょう。
募集職種は「DXソリューションコンサルタント」。思い切り「DX」が入っているので、ここで身構えるかもしれませんが、業務内容と募集要項を確認してみます。
【業務内容】
-全社DX戦略の策定
-新事業/製品開発の企画立案
-戦略実現のためのシステム/データアーキテクチャ策定
-DXを推進するための組織/人材設計・育成
-デジタルを活用したバリューチェーン改革の立ち上げ
-お客様の課題を解決するための提案~案件化
【応募要件】
〈下記いずれかに該当する方〉
-製造業における戦略・業務コンサルティング経験
-事業企画や新規ビジネス企画の5年以上の経験
-提案型のソリューション営業に関する7年以上の経験
-デジタル・テクノロジー関連のトレンドや仕事の進め方への理解
【望ましい経験・スキル】
-大企業のCxOクラスへの提案実績
-英語を用いたグローバルプロジェクトの実施経験
-製造業のバリューチェーン(製品開発~製造・物流~アフターサービス)の業務・システムを理解し、デジタルを活用した改革の提案/企画/実行を行った経験
いかがでしょうか。もちろん、誰もができる仕事ではありません。それなりの経験と実績が必要とされます。
ただ、「デジタルを活用した」とか「デジタル・テクノロジー関連の」といった文字は躍っているものの、応募要件や望ましい経験・スキルに「何々という言語でのプログラミング経験」といったことは書かれていませんよね。「DXソリューションコンサルタント」なんて聞けば、かなりすごそうな印象を受けますが(いえ、実際採用される方はすごい人なのですが)、言ってみれば、今の時代に合った優秀なビジネスプロデューサーとしての資質が求められているにすぎないのです。
プロデューサー的なITマネージャーということであれば、IT部門と「会話」ができればよいわけで、自分でプログラミングや開発をする必要はありません。もちろん、プログラミング経験があるに越したことはありませんが、より大事なのは「ITに関する一定の知識とコミュニケーション能力」です。
※本稿は『CDO思考 日本企業に革命を起こす行動と習慣』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。