尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足以降、風向きが変わった日韓関係。前政権下での反日政策「NO JAPAN」の痕跡は跡形もなく消え去ったように見える。日本旅行は依然として人気で、韓国と日本各地を結ぶ便は連日満席だ。また、YOASOBI、Ado、ONE OK ROCK、マカロニえんぴつ、King Gnu、RADWIMPSと日本のアーティストの韓国公演が続き、日本のアニメ映画もたくさん公開されているが、実際どの程度盛り上がっているのだろうか。(韓国在住ライター 田中美蘭)
相次ぐ人気日本人アーティストの韓国公演
曲に合わせて日本語でコールする場面も
新型コロナウイルスに関わる海外への渡航規制が解除されたことや、日本ブームが追い風となり、日本人アーティストによる韓国公演が相次いでいる。中でも注目度が高かったのが、昨年12月にソウルで行われたYOASOBIの公演だ。チケットは即完売、大盛況のうちに終わった。
YOASOBIといえばアニメ『推しの子』の主題歌である「アイドル」が、日本のみならず海外でも爆発的な人気となった。ソウル公演のライブ映像をYouTubeで見たが、とにかく盛り上がっており、会場の熱気と一体感がすごい。サビに合わせた掛け声や合いの手も見事にそろい、観客が心からライブを楽しんでいる様子が、ネットの動画からでも感じられた。
そう思ったのは日本の視聴者も同じだったようで、「韓国のファンが日本語でコールしてるのが最高」「音楽に国境がないというのは本当だ」「現地のファンの盛り上がりに感動する」「ファンの熱さに脱帽」「素晴らしいライブ」と絶賛のコメントで埋め尽くされている。
YOASOBIだけでなく、他にもたくさんの人気アーティストが続々と日本からやってきて韓国公演を行っている。昨年12月にはYOASOBIの他、ONE OK ROCK、Adoが、今年2月3日にはマカロニえんぴつのソウル公演があった。4月にはKing Gnu、7月にはRADWIMPSなど、多くの人気アーティストの公演が予定されている。
日本では年々K-POPの人気が高まっているようだが、韓国では若者を中心に日本のアーティストへの注目が集まっていることを実感させられる。K-POPがダンスと歌でショー的に見せる要素が強いのに対し、日本のアーティストの歌は歌詞にメッセージがありメロディーに中毒性があること、さらに近年では、多くの楽曲が人気アニメの主題歌となっており、アニメが配信されると海外の人たちが聴く機会が増えていることも人気の要因ではないだろうか。韓国のファンたちが日本のアーティストの公演を待ち望み、心から楽しむ様子は見ていて爽快である。