スラムダンク、すずめの戸締まり、鬼滅の刃……
日本アニメ映画の快進撃が続く

 音楽(J-POP)だけでなく、日本のアニメ映画も引き続き人気が高い。昨年は、『THE FIRST SLAM DUNK』(以下、スラムダンク)と『すずめの戸締まり』が立て続けに韓国で大ヒットした。最終的にはスラムダンクは487万人、すずめの戸締まりは557万人の観客数を動員し、韓国で公開された日本アニメ映画の観客動員数の新記録をめぐりデッドヒートを繰り広げた。どちらも今年1月に期間限定ながら再上映され、「昨年の感動を再び」とファンを歓喜させた。

 スラムダンクの場合は、30~40代の韓国人が青春時代に原作マンガに熱中していたのも大きい。過去を懐かしみ、何度も映画館に足を運ぶリピーターがたくさんいた。さらに、リアルタイムでスラムダンクを知らない10代や20代の若者たちにも口コミで人気が広がった。

 そして、2月14日に公開されたのが『「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』である。公開初日だけで6万6197人の観客を動員、映画ランキングの2位に躍り出た。韓国では2月が春休み中ということもあり、公開期間中に観客動員数がどこまで伸びるか注目したい。

「鬼滅の刃」はワールドツアー上映と題し、世界140以上の国と地域で上映され、世界各地で舞台挨拶が行われている。(c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable「鬼滅の刃」はワールドツアー上映と題し、世界140以上の国と地域で上映され、世界各地で舞台挨拶が行われていた (c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 ソウルでは先日、声優の河西健吾と花澤香菜が映画館での舞台あいさつに登壇。それぞれ「刀鍛冶の里編」のメインキャラクターであった時透無一郎と甘露寺蜜璃を演じた声優ということで、舞台あいさつには韓国人ファンが多く集まる様子が報じられ、「鬼滅の刃」が根強い人気であることを証明していた。

「鬼滅の刃」炭治郎の耳飾りが
「旭日旗に似ている」と問題になったことも

「鬼滅の刃」といえば思い浮かぶのが、文在寅(ムン・ジェイン)前政権下での反日のあおりを受け、ターゲットにされたことである。左派活動家で大学教授の徐坰徳(ソ・ギョンドク)氏や市民団体が、主人公・竈門炭治郎の耳飾りの模様が「旭日旗をイメージさせるものだ」と批判し、マスコミが扇動するような報道を行ったのだ。結局、韓国では劇場版とNetflix版で耳飾りのデザインを修正する形で公開された。この話題は、日本でも当時報じられたので、記憶している人も多いだろう。

 何かにつけて言いがかりをつけて日本批判を行う活動家や市民団体には本当にうんざりさせられるが、彼らは今のこの日本ブームをどう見ているのか聞いてみたいものである。

 現在の日本ブームは、日韓関係の改善を明確に示した現政権の姿勢によるところが大きい。しかしそれ以上に、前政権の反日政策や当時の雰囲気に対して、疑問や矛盾、閉塞感を感じていた韓国国民の反動が表れているのではないか。一過性のブームや、作られた人気でないということである。

 音楽でも映画でも、国や政策に関係なく、好きなものを「好き」「楽しい」と言えることは幸せなことだと思う。政治的な観点にとらわれない“日本好き”の若者が増えているのは、今後の日韓関係にとって期待できることではないだろうか。