1917年、米国の裕福な実業家モートン・プラントの若妻であるメイジー夫人は、フランスの高級宝飾ブランド「カルティエ」の見事な二連の真珠ネックレスに憧れていた。当時ニューヨークで米国拠点を探していたピエール・カルティエは、その100万ドルのネックレスを、マンハッタンの5番街52丁目に建つプラント家の邸宅と交換したいと申し出た。プラントはすぐにその交換に応じた。その後に起こったことは、暗号資産(仮想通貨)がデジタルゴールドに相当すると信じているビットコイン推進派にとって教訓的な話である。ビットコインはむしろ、デジタルパールのようなものになるかもしれない。鉄道・蒸気船・ホテルなどの莫大な資産を持つモートン・プラントのような産業王が、カキから出てきた光り輝く塊と自身の優雅な邸宅をなぜ交換したのだろうか。