塩分の取り過ぎは良くない。わかっていても、つい塩気たっぷりの料理を食べてしまう。気づかないうちに、毎日の食事にこんなに塩分が含まれていた!という人に、わざわざ「減塩」食品を選ばなくても、毎日のちょっとした工夫でできる減塩生活を伝授します。(管理栄養士 岡田明子)
塩分を取り過ぎると
なぜ高血圧になるのか
日本は高血圧疾患者が多く、20歳以上の国民の2人に1人は高血圧と言われています。そこで今回は、高血圧予防のための減塩術をお伝えします。
高血圧とは、心臓から送り出された血液が、血管の壁に与える「圧力」が高くなり、血管に大きな負担がかかることで起こる疾病です。高血圧の状態が続くと、心臓、脳、腎臓などの血管の壁が硬く、もろくなると動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞、腎臓病など命に関わる病気を引き起こす可能性があります。このような生活習慣病を予防するためにも、血管を良好な状態に保つことは欠かせません。
血圧は一日の中で変動しています。医療機関などでの測定は、変動する血圧の一つの時点を表しており、また日常とは異なる環境で測定されるので、普段の血圧を必ずしも反映しない場合があります。
そのため、自分の血圧の状態をより正確に知るには、家庭での測定が重要です。高血圧かどうか気になる人や、健康診断や医療機関で血圧が高いと言われた方は、毎日測定する習慣を身につけましょう。できれば、一日2回、朝は起床後1時間以内に、排尿後や朝食前、服薬前に、夜は入浴後や就寝前(飲酒後は避ける)に測り、毎日記録をしていきましょう。
日本高血圧学会では、健康診断や医療機関で測定した血圧で、収縮期血圧は140mmHg以上、拡張期血圧は90mmHg以上を高血圧としていますが、リラックスした状態の家庭で測定するときの高血圧の基準値は、収縮期血圧が135mmHg以上、拡張期血圧が85mmHg以上を高血圧とし、それぞれ5mmHg低くしています。
なぜ塩分の取り過ぎが高血圧につながるのでしょうか? 身体には、塩分濃度を一定に保つ働きがあります。塩分を取り過ぎると血液中の塩分濃度が高くなり、それを下げるために水分を多くため込みます。その結果、血液量が増え、大量の血液を押し流すため血管壁に高い圧力が加わり高血圧になるのです。
日本高血圧学会では、食塩の摂取量の目安は一日6g未満としています。最近の国民健康栄養調査によると、日本人の平均食塩摂取量は10.1gで、男性 10.9g、女性 9.3gです。つまり目安量から4gも取り過ぎている傾向にあります。食べ物に含まれる食塩量を把握して1日6g未満を目標に減塩に取り組みましょう。