米大統領選の共和党候補者指名争いで、予備選・党員集会が集中する5日の「スーパーチューズデー」をドナルド・トランプ前大統領が制したことは、2020年のジョー・バイデン大統領との一騎打ちの再戦への賽(さい)は投げられたことを意味する。信じがたいことだが、民主・共和の二大政党は、相手に負ける可能性のある恐らく唯一の候補者を指名する方向に進んでいる。米国の偉大な大統領不人気コンテストの様相だ。共和党予備選でのトランプ氏の勝利を否定するつもりはない。この原稿を書いている時点でトランプ氏が負けたのは、コロンビア特別区でのニッキー・ヘイリー氏との一戦だけだ。トランプ氏は大半の州で世論調査ほどの支持は得られなかった。だが、共和党支持者の間でのトランプ氏の強さを見ると、2期目を目指す現職大統領のように選挙戦を展開する同氏を今年打ち負かせる人などいたのだろうかと振り返って考えさせられる。トランプ氏に対する好き嫌いは別にして、これは現代では前例のない快挙である。リチャード・ニクソン元大統領は共和党候補に3回指名されたが、連続ではなかった。
【社説】米共和党、トランプ氏に3度目の賭け
弱くて不人気なバイデン大統領に負ける可能性のある候補の指名に向かっている
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