子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では、船津氏のこれまでの著書から抜粋して、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。

世界標準の子育てPhoto: Adobe Stock

継続による自信は誰でもつけることができる

 さて、これまでの連載で習い事について述べてきましたが、習い事をさせるそもそもの目的に立ち返ると、

・強みを大きく伸ばし、自信を身につける(アイデンティティを確立する)こと
・子どもの能力や人格を支える習慣力を身につけること

という大きく2つの目的に集約できます。

 そこで何よりも重要になってくるのは、「継続」です。

 強みも、自信も、習慣力も、続けることで強くなり、ゆるぎないものになっていきます。

 困難な出来事に出合った時も、「こんな経験は以前も越えてきた。だから自分にはできる」と思考を切り替え、ポジティブに向かっていくことができるのです。

 続けることこそが、習い事の最大の優先事項と言ってもよいでしょう。

 目標としては、最低10年間です。10年以上続けることで、その結果はどうあれ、子どもは「一つのことを本気でやり抜いた」という自信を獲得できるのです。

 この自信は、子どもがその先の挫折経験を乗り越える時に大いに役立ちます。

「やめたい」と言い出す子どもとどう向き合うか

 しかしながら、10年以上の継続を目標とすると、習い事をする中で子どもは十中八九「やめたい」と言い出すタイミングがあります。ですが、簡単にやめさせてはいけません。

 これは単なる根性論ではなく、「やめる」という選択は子どもにとっての「失敗体験」になるからです。

 やれるところまでやって、子どもが自分の選択の上でやめるのであれば仕方ないのですが、多くの場合、真剣にやる前に、真剣に向き合う前にやめてしまいます。

 すると、あきらめグセがつき、「自分は何をしてもうまくいかない」「自分はこんなものだ」と悲観的、あるいは平凡な選択をするようになってしまうのです。

 継続をいかにさせるかがもっとも重要なポイントであり、これはイコール「続けてもらうために親がどうサポートできるか」にかかっているのです。

 賢い親たちは、決して子どもに強制することなく、しかし簡単にはあきらめさせない仕組みを作っています。

スタートダッシュをうまく切れると、自主的に挑戦を始める

 最初は喜んで通っていた習い事でも、少し経つと「もうやりたくない!」「やめたい!」と言い出す。なぜでしょうか?

 それは、「うまくできないから」です。

 うまくできないことをやるのは誰にとっても楽しくないのです。

 たとえば、まったく泳げない子どもをスイミングスクールに入れても嫌な経験、挫折感を味わうだけです。

 その失敗体験が「自分は泳げない」「運動ができない」といった認識につながります。

 いきなりポンと放り込むのではなく、まずは家庭で基本的な技術を教え、ストロークの方法、息継ぎのタイミング、飛び込みのコツを教えてあげてから教室に入り、スタートダッシュを切らせるのが最良の方法です。

 小学校時代であれば、夏休みに毎日プールに通って水泳の練習をすることで、確実にまわりの子どもたちよりも突き抜けることができます。

 毎日付き合うのは当然大変ですが、特に最初の成功体験」は重要で、コツコツと努力を継続し、結果を出すという経験が「自主的に努力する」というやる気につながっていきます。

 物事の出だしを、親がどうサポートできるかが、子どもがその習い事についてどう感じるのかを決め、子どもの行く末を左右すると言っても過言ではありません。

(本原稿はToru Funatsu著『すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。』から一部抜粋・編集したものです)