【六甲学院高校】華麗なる卒業生人脈!政治学者の五百旗頭真、映画監督の黒沢清、クラウドワークス創業の吉田浩一郎…政治学者で、東日本大震災復興構想会議議長や防衛大学校校長を務めた五百旗頭真氏 Photo:SANKEI

災害復興にも尽力した
政治学者の五百旗頭真

 六甲学院高校は、神戸市灘区にある。六甲の山並みを背景に、校舎からは神戸の街と海が眼下に広がる。カトリック修道会のイエズス会を母体とする中高一貫の私立男子校だ。

 日本外交史が専門の政治学者で、東日本大震災復興構想会議議長や防衛大学校校長を務めた五百旗頭真(いおきべ・まこと)が、この3月6日に死去した。80歳だった。

 五百旗頭は父親が神戸大教授だったことから阪神間で育ち、六甲中・高校(現六甲学院中・高校)を経て、京都大法学部を卒業。神戸大教授に就き、『日米戦争と戦後日本』などを著し、時論家として意欲的に論陣を張った。

 自民党の小泉政権から防衛省の防衛大学校校長に招請され、2006年から12年まで務めた。

 1995年、西宮市の自宅で阪神・淡路大震災に遭遇、復興活動に携わった。2011年に東日本大震災が起き、当時の民主党政権下の菅首相からの依頼を受けて復興構想会議議長に、翌年には復興推進委員会委員長を務めた。「創造的復興」を掲げ、防災・減災の哲学を、政府や被災自治体に植え付けた。

 五百旗頭はいわゆる「象牙の塔」に引き込もらなかった。かといって「御用学者」でもなかった。与野党双方から頼りにされるリベラリストである一方、批判すべきは批判する硬骨漢でもあった。2011年には文化功労者に選定されている。

 日本政治史が専門である東京大教授の五百旗頭薫は息子で、六甲高校―東京大法学部卒だ。父親より高校で30期、後輩に当たる。

学者・研究者として
活躍する卒業生たち

 植物分子細胞生物学者で奈良先端科学技術大学院大学長を務めた(1997年度~2000年度)山田康之は、12年に文化勲章を受章した。六甲高校―京都大農学部卒で、イネバイオテクノロジーの飛躍的発展の基礎を築いた。21年8月に死去した。

 ノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大教授の山中伸弥(国立大阪教育大附属高校天王寺校舎卒)も山田学長時代に同大学院大遺伝子教育研究センター助教授を務めていた。山田と同時の2012年にやはり文化勲章を授与されており、12年秋には2人そろって文化勲章親授式に臨んだ。