建築家の妹島和世と
小説家の恩田陸
徳川御三家の一つ、水戸藩35万石が居城とした水戸城旧本丸跡にあるのが、茨城県立水戸第一高校だ。高台の由緒ある校地という点で、全国で三指に入る伝統校だ。
今、輝いている2人のOGを、紹介しよう。
建築家の妹島(せじま)和世の名が近年、響き渡っている。その設計は「透明感のある開放的なデザイン」が売りで、小さな個人住宅から海外の公共住宅まで、世界的に活躍している。
西沢立衛(東京都立府中高校―横浜国大・建築学科卒)と設立した建築家ユニット「SANAA」名義で、国内では金沢21世紀美術館、海外ではルーブル美術館別館のルーブル・ランスなど多数の建築設計を手掛けている。
妹島は、水戸第一高校から日本女子大家政学部住居学科に進学した。「ぼんやりした、普通の女の子だった」が、伊東豊雄(東京都立日比谷高校卒)の建築設計事務所に入所して、頭角を現した。
「SANAA」は建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を、2010年に受賞した。日本人の建築家では6人目、女性としては世界で2人目だ。伊東も13年にプリツカー賞を受賞したが、師匠より妹島の方が先だった。妹島は22年7月から、東京都庭園美術館館長を務めている。