2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、円安や物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はINPEX、ENEOSホールディングス、出光興産の「エネルギー」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
INPEX・ENEOS・出光がいずれも減収
原油価格の下落が影響
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の「エネルギー」業界3社。対象期間は2023年8~12月期の四半期(3社いずれも23年10~12月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・INPEX
増収率:マイナス9.9%(四半期の売上高5639億円)
・ENEOSホールディングス
増収率:マイナス8.0%(四半期の売上高3兆6258億円)
・出光興産
増収率:マイナス0.8%(四半期の売上高2兆3778億円)
エネルギー業界の3社はいずれも前年同期比で減収となった。
原油価格の高騰と円安を追い風に、21~22年は大きく売り上げを拡大させてきたエネルギー業界3社。しかし、本連載でも取り上げた通り、原油価格高騰の影響による“バブル”は終わりを迎えたといえそうだ。
各社が減収に陥った背景には、原油価格の下落がある。
ただ減収の一方で、原油価格バブルを謳歌していた時期よりも大幅に増益となった企業がある。それは、どの企業なのか。そして、その理由とは何か。
次ページでは、各社の増収率の推移を紹介するとともに詳しく解説する。