新型コロナウイルス禍がかなりの落ち着きを見せ、社会は少しずつ元通りになりつつある。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった問題はいまだに解消されていない。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はINPEX、ENEOSホールディングス、出光興産の「エネルギー」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)
INPEX・ENEOS・出光がそろって減収
「原油高バブル」ついに崩壊か
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のエネルギー業界3社。対象期間は2023年2~6月の直近四半期(3社いずれも23年4~6月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・INPEX
増収率:マイナス18.4%(四半期の売上高5003億円)
・ENEOSホールディングス
増収率:マイナス9.5%(四半期の売上高3兆2183億円)
・出光興産
増収率:マイナス17.5%(四半期の売上高1兆8189億円)
エネルギー業界の主要3社はいずれも、前年同期比で減収という結果だった。長らく続いた原油価格高騰の影響による“バブル”が、ついに終わりを迎えつつあるようだ。
過去の約2年間は原油高が追い風となり、エネルギー3社は継続的に売り上げを拡大してきた。原油価格は22年夏をピークに下落基調に転じたものの、23年に入ってもプラス効果は継続。直前の四半期(23年1~3月期)も3社そろって2桁増収を達成していた。
だが、ここにきて原油価格の下落が顕著になり、各社の業績に悪影響を及ぼし始めている。今回分析対象とした3社の中には、減収の影響で利益面に打撃を受け、営業利益が前年同期比で「約8割減」と大きく落ち込んだ企業も含まれている。
各社の現状はどうなっているのか。次ページでは、3社の増収率の推移と併せて、利益面についても詳しく解説する。