疲れている妻が「子育てって大変ね」と弱音
夫「ほかのお母さんはみんなやってるんだから」

 これは、夫として「もっとも言ってはいけないセリフ」のひとつです。いちおう励ますつもりかもしれませんが、その意図はまったく伝わりません。追い詰められている妻をますます苦しめるばかりか、苦しさを理解してくれない夫への激しい幻滅につながるでしょう。

 妻は「もう嫌だ」と、子育てを投げだそうとしているわけではありません。ちょっと弱音を吐いて、自分を奮い立たせて、また明日から頑張ろうと思っています。

 妻が夫に伝えたいのは「自分は今、ちょっと疲れている」ということ。「ほかのお母さん」がどうであろうと関係ありません。まして「みんなやってるんだから」と言われたら、それができていない自分に対して「母親失格」の烙印を押されているように感じるでしょう。

 妻に限りませんが、誰かが弱音を吐いたときに必要なのは、優等生的な励ましやアドバイスではありません。「たいへんだよね」と共感して、つらさや苦しさを受け止め、少しでも分かち合ってあげることです。

妻が喜ぶリアクション
「たいへんだよね」と受け止めつつ、「毎日、頑張ってくれてありがとう。僕にできることがあったら何でも言ってね」と続けたい。

言うことを聞かない子どもを妻がキツイ口調で叱っている
夫「そんなに怒らなくてもいいんじゃないの」

 子どもを叱るのは簡単ではありません。どんな加減が適切なのか、どういう言い方をすれば伝わるのか、親は模索し続けざるを得ません。

 妻が子どもを叱っている様子を見ながら、「ちょっと厳しすぎるんじゃないかな」と感じたり、妻が感情的になっている気配が伝わってきたりすることもあります。

 自分としては、妻をなだめつつ、子どもに助け舟を出してあげようと思って、言葉をはさみました。しかし、間違いなく火に油を注ぐ効果しかないでしょう。

 妻には妻の考えがあって子どもを叱っています。そんなときに横から夫に口を出されるのは、邪魔以外の何ものでもありません。子どもとしても母親と父親の意見が食い違ったら、どう受け止めていいのか混乱します。

 怒り方について「さすがにちょっと言ったほうがいいかな」と思ったとしても、伝えるのは妻が落ち着いているときにしましょう。相手が効く耳を持っていないときにアドバイスしたら、無駄にケンカになるだけです。

夫が株を上げるひと言
 子どもに向かって「ママに謝ろう。パパも一緒に謝ってあげる」と提案して、声を揃えて妻に「ごめんなさい」と言う。