子どもが少し大きくなっても、親の悩みや不安は尽きません。今日もイヤな叱り方をしてしまったと、落ち込むことも……。きれいごとでは進まない子育てでうまく立ち回るために、23年間の小学校教師経験を含む40年超の実績のある教育評論家・親力アドバイザーの親野智可等:著『ずるい子育て』(ダイヤモンド社)に頼ってみませんか。本連載では、多種多様な子どもたちとその保護者に向き合って生まれた「親がラク&子どもが伸びる」一石二鳥のテクニックを紹介していきます。

【子育て】将来得する! 子どもの伸びしろを最大化する簡単な方法Photo: Adobe Stock

手を抜くべきところは、抜いてください

そもそも、「子どもを伸ばしてあげたい」「学力を高めてあげたい」「もっともっと……」という願いは親の本能のようなものです。
しかし、スーパーマンでもない限り、子育てに関わる活動―しつけ、食事、遊び、運動、勉強、習い事、地域や学校での交流、受験など―すべてに100%の力をそそいで完璧にやることはできません。
その結果、親の願いが空回りしてイライラしたり、一生懸命やっているわりには子どものためになっていなかったりということになりがちです。
ぜひ、もっと効率的な方法を取り入れて、抜くべきところは手を抜いてください。
本連載では、実際に日常生活の中で「ずるい子育て」を実践していただける方法を提案します。それらの方法は、次の5つの考え方をもとにしています。

【ずるい子育て5カ条】

➀しつけより能力アップ
しつけの大半は、大きくなれば自然とできるようになることばかりです。それならばいまできなくても目をつぶり、いましか伸ばせないあと伸びするための力を身につけさせるほうが得策です。

➁親の常識より子どもの適正
勉強しないと将来困ると思われがちですが、小学校で習うレベルの知識はあとからでも十分入ります。それより、いま子ども自身が進んでやりたがることに賭けてみましょう。

➂親も自分の人生を楽しむことを忘れない
子育てを優先し、自分自身が楽しむことを忘れていませんか? 「子どもから手が離れたあとで……」と考えていたら、自分の人生を楽しむ時間がなくなってしまいます。子育て中に親が自分の楽しみをもつことは、禁じられているわけではないのです。

④勉強より熱中体験で勝手に伸びていく
もっとも手がかからず、それでいて効果絶大なのが、子どもが熱中していることを思う存分やらせる、ということです。たとえゲームであっても構いません。無理やり勉強させなくても、熱中することで子どもの世界は自動的に広がり、地頭がよくなり、生きる力がついていきます。

⑤子どもは他人
どんなにかわいい我が子でも、自分とは違う人間。親の思うとおりになることなどひとつもないと思っていたほうがよいでしょう。それならば、親がやるべきことは、子どもをコントロールすることではなく、その子に合った環境や手段を見つけてあげること。いま、社会は過渡期であり、教育環境もどんどん変わっています。自分世代の常識は捨て、我が子が無理なく力を発揮できる場所を見つけてあげましょう。

子育てにも、仕事と同じように作戦が必要

以上が「ずるい子育て」の基本の考え方です。大事なのは、情報が多く忙しい現代では、仕事と同じように子育てにおいても作戦が必要だということ。そして、すべてをきちんとやろうとせず、諦めるべきことは諦めることです。諦めると決めたことに対して、親として罪悪感をもつ必要はありません。
「ずるい子育て」とは、親自身が幸せであることで子どもを幸せにしようとすることです。本当は決してずるくはないのです。

※本稿は『ずるい子育て』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。