小さな頃から手がかからず、明るくはつらつとして友人も多く、小学校から大学まで野球を続け、何事も諦めずスポーツも勉強も納得のいく結果を出してきた自慢の息子でした。

 翔哉さんはいつものように会社に行った木曜日から、連絡もなく3日間帰宅しませんでした。時々外泊はあったものの連絡がないことはこれまで一度もありませんでした。妻の由美江さん(47歳)は心配しましたが、彼女でもできたのかもしれず、寿史さんにもそういった経験があったことからそっとしておくことにしました。

会社から息子が
風邪で休んでいると告げられ

 翔哉さんが家を出てから4日目の日曜日の深夜になっても帰宅しなかったので、さすがに由美江さんは「今日は帰る?」とメッセージを送ったのですが、既読になることはありませんでした。

 翌日の月曜日の朝に「ちゃんと会社に行ってる?」というメッセージを送った直後、会社の同僚から「翔哉くんの風邪はまだ治りませんか?」と電話があったのです。詳しく聞いてみると、木曜日の朝に風邪で休むとの電話があり、それ以降何度メッセージを送っても既読にならず、スマホの電源は切れている状態だそうです。由美江さんが送った「今日は帰る?」のメッセージも既読になっていません。寿史さんはただ事ではないと思いました。

 事故や事件に巻き込まれたのかもしれないと、慌てて警察に行方不明者届を提出しました。

 居ても立ってもいられず、友人関係や家族でよく行っていた飲食店にも連絡してみましたが、なんの情報も得られませんでした。

 さらに2日たち警察からは、事件や事故では該当者がいなく家出の可能性が高いとの連絡がありました。大卒で25歳の大人の男性である翔哉さん捜しを、警察はすぐに動いてくれなさそうでした。

 担当の警察官も「私にも覚えがありますが、本人の意思の可能性もありそうですので、もう少し様子を見てください」とのことでした。