(3)親からのストレスから逃れるための家出
子どもの意思にかかわらず「勉強しなさい!」など、親が要求し続けることで、慢性的にストレスを感じる。そこから逃れるための家出。友達の家や祖父母の家など、安全な行き場所があり、中学受験に苦しむ子どもに多いパターン。
(4)家に居場所がなく、安全な居場所がない家出
親からのストレスから逃れるための家出に近いが、こちらは信頼できる人のいない場合で、体裁を考えて、家庭の内情をオープンにしたくない子どもに多いパターン。行き場がなく、見つけられたくないので、人混みやゲームセンターなどで過ごす。
(5)親のネグレクトによる家出
親が家におらず、子どもがほったらかしで、親がいても食事や必要なものを準備してもらえない家からの避難。食事・居場所・愛情を与えてもらえる友人宅などに行き、年齢が上がると同年代のたまり場で生活し、家に寄りつかなくなっていく。
客観的に見ていずれかの家出のケースに分類できれば対策も見つかるのですが、家出の理由も分からず、子どもを一日も早く捜してほしいと願ってもどうすることもできない事例は少なくありません。
そうなる前に、親の声かけに返事をしなくなったり、親の干渉を嫌がったり、家族との会話がなく部屋に閉じこもるなど、子どもが出すサインに気づくことが大切です。
さらに成人であれば、繰り返し送られてくる金融会社からの督促状や、自宅への度重なる知らない人からの電話は、子どもだけではどうすることもできない状況が考えられるため注意が必要です。
最も安心できる場所であるはずの自宅で、不安を感じるようなことが起これば、さらに安心できる場所を探そうとするのはごく自然な発想です。時折見せる不安げな表情を見逃さないようにすることも大事だと思います。
未成年者の家出であれば警察の捜査によって見つかる可能性は高いのですが、成人して大人になった子どもが、自分の意思で家を出たのであれば見つけるのは困難であると思われます。
外資系IT会社に勤める
25歳息子が帰ってこない
1カ月前に家出をした25歳の息子を捜してほしいと相談に来られたのは渡辺寿史さん(51歳男性)でした。
大学を卒業し念願だった外資系のIT会社に入社した息子の翔哉さんは、一緒に住む自宅から、いつもの時間に家を出たそうです。「行ってくるよ」と言った笑顔も、いつもと変わりませんでした。