米国では雇用が速いペースで拡大しているものの、インフレを引き起こしかねないほどではない。5日発表の雇用統計で6月の利下げ観測が吹き飛ぶことはなかったものの、望みはかろうじてつながっているにすぎない。米労働省によると、3月の非農業部門就業者数は前月比30万3000人増加し、前月の27万人増から伸びが加速した。市場予想の20万人増も大きく上回った。ヘルスケアや政府部門のほか、建設、小売り、ホスピタリティー・レジャーなど、景気循環的な部門でも雇用拡大が続いた。雇用が強いと早期の利下げは遠のくが、インフレのハト派にも留意すべき点がある。まず、3月の平均時給の伸びが前年同月比4.1%と、2月の4.3%から鈍化し、2021年6月以来の低さとなった。2年前は5.9%だった。雇用主が速いペースで雇用を増やし続けても労働市場は過熱しないということで、経済が堅調なままインフレの鈍化持続が可能になる。
強い米雇用統計、それでも利下げ観測は消えず
労働力の供給拡大は経済を過熱させずに雇用を増やせるが、利下げ後ずれ防ぐに十分か
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