“自分らしくいること”が、コミュニケーションがうまくいく一番の秘訣」
つい周りに合わせて無理をしてしまったり、自分の言いたいことをうまく言えなかったり…そうして、悩んだ経験はありませんか?
感じがいい、信頼できる 大人のちょうどいい話し方』は、そんないつも周りを気遣うことのできる人に向けて作られた書籍として注目を集めている。
アナウンサー歴30年超でありながら、実はもともと極度の人見知りで「人前で話すのがずっと苦手」だった著者による、「大人にふさわしい会話のテクニック」が多数掲載されている。
自分と相手が調和するコミュニケーションの秘密がわかる本書。
今回はその中から特別に「信頼される人の特徴」を紹介します。

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「リアクション」で相手の気持ちをつかめる

「話が面白い人」と聞いて、あなたは誰を思い浮かべますか?

 友人、恋人、会社の同僚、芸能人……さまざまなイメージがあるかもしれません。

 では「信頼感のある人」と聞くとどのような人を思い浮かべるでしょうか。もしかすると、「話が面白い人」とはまた違う人を思い浮かべるかもしれませんね。

 ビジネス上においてもこれは同じこと。ユーモアがあるに越したことはありませんが、必須ではありません。
 それよりも大切なのは、仕事を進めるうえで「信頼感のある人」だと思ってもらうことです。

 今回は、「信頼感のある人」だと思ってもらえるカギの一つ「相手のハートをつかむリアクション」を紹介します。

一流のスターは「リアクション」だけで相手の心をつかむ

 テレビ局に勤めていたころ、ありがたいことに数々の著名人に取材する機会をいただきましたが、中でも私が「見事なリアクションだ!」と感じたのが、ハリウッドスターのトム・クルーズです。

 私が初めてトム・クルーズにインタビューをしたのは、主演映画のプロモーションで初来日した時のこと。それ以来15年ぶりに再びインタビューをしたときのことです。

 取材可能な時間は、2、3分間しかありません。その間にレッドカーペットを歩く彼をつかまえて、なんとかいいコメントを引き出さなければなりません。

 大勢いるリポーターの中で、どうしたら目を留めて話してもらえるか。第一声を考え、近づいてきた彼に私は明るく、「Long time no see!(お久しぶり!)」と声をかけました。

 トムは私を見て一瞬だけ「?」という顔をしましたが、ここからが彼のすごいところ。すぐに例の爽やかな笑顔で「ああ! あの映画の時だよね!」と返してくれたのです。私は、思わず仕事を忘れて大喜びしてしまいました。

 彼が本当に私を覚えていたかは定かではありません。しかし、さすがはスター。とっさの状況でも、相手をがっかりさせることなく、それ以上の気持ちにさせるリアクションを取ってくれたのです。その対応力はあっぱれでした。

 リアクション一つで、相手をここまで喜ばせることができるのです。

(本記事は、『感じがいい、信頼できる 大人のちょうどいい話し方』の一部を抜粋・編集・加筆したものです)