進学・進級の季節になった。わが子が小学校に入り、PTAの活動が始まった親も多いだろう。だが、PTAはメディアやSNSで「恐ろしい組織だ」と批判されがちだ。実態が分からないまま、漠然とした不安に駆られている人もいるかもしれない。短期集中連載「大塚さん、PTAが嫌すぎるんですが…」の#1では、そうした層に向けて「PTAの問題点」を基礎から解説する。PTA会員の仕事内容に応じてポイントを付与し、獲得数のノルマを課す「ポイント制」など、悪名高い仕組みが生まれる背景とは――。(ライター 大塚玲子)
「PTAはおっかない」
よく聞くウワサの真偽とは?
「PTAって、よくTVやネットとかで取り上げられてる、おっかない団体でしょ?」
これから子どもが小学校に上がる保護者のなかには、こんなふうに、まだ見ぬPTAにおびえている方も多いことでしょう。
「入学式のあとは体育館に閉じ込められて、誰かが役を引き受けるまで帰らせてもらえないんだって?」「推薦で役員に選ばれた人は、断れないらしいよ…」など、常識的には考えられない懲罰チックな状況を耳にして、「どうすりゃいいの」と悩んでいる方もいるのでは。
確かにそういうPTAは、まあまあ存在します。「そんなの都市伝説ですよ」と言って、みなさんを安心させてあげたいところですが、うそを言うのもよくありません。おっかないPTA、確かにあります。
ただし「PTAの全部が、そう恐ろしいわけではない」というのもまた事実です。ここ10年ほどの間に、運営の見直しや改革の動きはだいぶ広がっており、特にコロナ禍に入ってからは効率化を進めるPTAも増えています。「ヤバいPTAだ」と思ったら退会することもできますから、やみくもに恐れなくても大丈夫。
当連載では、そんな「今変わりつつあるPTA」のリアルをお伝えしていけたらと思っています。初回となる本記事では、PTAというのはどんな団体で、これまでどんな問題を抱えてきたのか、おおまかなところを見ていきます。
まず、PTAとはどんな団体か。意外と知られていないようですが、PTAはParent Teacher Associationの略。「保護者(P)と教職員(T)が、子どもたちがより良く育っていけるよう協力し合う(A)」ことを意図した団体、という認識が一般的です。一見すると学校の一部のように見えますが、実際には学校とは別の、独立した団体です。
ではなぜそんな団体が、これほど怖がられてきたのでしょうか。
・PTAを保護者が恐れる最大の理由
・「ポイント制」などの謎ルールがなくならないワケ
・「活動の強制」よりも根深い問題とは?