現代人は「慢性的で容赦ないストレス」に押しつぶされ、頭も肉体も、そしてメンタルも疲れ切っている。私たち人間が本来持つ「エネルギー」を取り戻すには、どうすればよいのだろうか? 本連載では、スタンフォード大学で人気講義を担当し、億万長者の投資家、シリコンバレーの起業家、アカデミー賞俳優のコンシェルジュドクターでもあるモリー・マルーフの著書『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から人生最高の時期を引き延ばし、生活の質を最大限に高め、幸福度を増し、慢性疾患の発症リスクを下げる「最新の健康法」を紹介する。
歩数を測定するためにツールを使う
1日にどの程度動き回っているかモニタリングを始めるための簡単なバイオハックが、歩数の継続的な測定、つまりトラッキングだ。
スマートウォッチ、スマートフォン、手頃な歩数計はいずれも、自分が十分に動き回っているかを確かめるために歩数をトラッキングするツールとなる。
まずは、平均歩数を測定してみよう。歩数を1週間測定して、その結果を確認すれば、自分の活動レベルを把握できる。
何歩歩けば十分かについてはさまざまな意見があるが、私は研究を重ねたうえで、シンプルな分類方法を考案した。
座りっぱなし:1日5000歩未満
活動が少ない:1日5000~7500歩未満
活動的:1日7500~1万1000歩未満
非常に活動的:1日1万1000歩以上
自分の活動レベルをより正確に把握できたら、歩数を徐々に増やすことを目標にできる。
1日の歩数が7500歩未満の場合は、「活動的」のカテゴリーに到達するまで1日の歩数を毎週1000歩ずつ増やすことを目標にしよう。
既に「活動的」のカテゴリーにいるなら、「非常に活動的」になるまで歩数を増やすことを目指してもいいだろう。
運動量を自分で正確に把握するのは難しい
活動量計は身体活動量を測定する機器である。あなたが実際どのくらい身体を動かしているか現状を把握できる、バイオハックに役立つデバイスだ。
ある研究で、被験者が見積もった身体活動量と活動量計で測定した実際の身体活動量とを比較したところ、被験者が1日当たりの身体活動量を概ね多く見積もっていることがわかった。
被験者の12.5%が身体活動をまったくしていないと自己申告したが、活動量計の数値によれば、身体活動をまったくしていなかったのは被験者の53%にも達した。また、被験者の62%が十分な身体活動をしていると申告したが、活動量計によれば、十分な身体活動量をクリアした被験者は9.6%のみにとどまった。
こうしたデバイスを手首に装着しないかぎり、あなたはおそらく自分の身体活動量を正確に把握できない。
スマートウォッチなどのフィットネスウェアラブル機器は、歩数や身体活動量を測定する機能をたいてい備えている。あなたも既に身につけているかもしれない。ぜひ活用しよう。
以前、片頭痛に悩んでいる患者がいた。どのくらい運動しているか尋ねたところ、運動はしていないと答えた。その患者にフィットネストラッカーを身につけて歩数を測ってもらうと、1日に約1000歩しか歩いていないことがわかった。
1日当たりの推奨歩数は1万歩、距離にして約5マイル(約8キロ)だ。
その数字を見るまで、患者は自分がいかに動いていないかに気づいていなかった。これをきっかけに彼は変わる気になった。もっと運動するようになり、歩数を1000歩ずつ徐々に増やしていった。
また、運動量を増やすのと並行して、血糖調節を改善するために食生活を変え、マグネシウムなどのサプリメントを摂取したところ、患者の片頭痛はすっかり解消した。
(本記事は『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から一部を抜粋・改変したものです。)