この本のテーマである効率的市場仮説をざっくり解説すると、
・テクニカル分析もファンダメンタルズもお前らにとっては意味なし
・なぜなら株価には既にすべての情報が織り込まれているからだ
・すべての情報には、現時点における未来予測や期待値も含まれている
・新たな情報が現れても、みんなが合理的に動いて瞬時に株価に反映される
・だから今日の株価の動きなんてランダムなのだ
・結論、考えるだけムダ。パッシブファンドに投資しよう
……とまあ、身も蓋もないことを主張している説です。しかし現実問題として、人類はそこまで合理的でも賢くもないので、市場が完全に効率的になっているとは言い難いんです。だから「仮説」としているわけです。「効率的市場理論」ではないんですね。
とはいえ、高度に発展した現代の市場はおおむね効率的だとも言えなくはないので、それに基づいて地道に投資をしませんか……ということ。無理のない主張です。
しかし、株価にすべてが織り込まれているのにどうして投資したら儲かるって言えるんだよ!という気もしてきます。そこは、「人類全体の経済成長に株全体が恩恵を受けますよ~、そしたら株のパイ全体が膨らむね。どこが大きく膨らむのかはわからないけど、全体的には膨らむ。だからパイ全体に薄く広く投資したらいいですよ」というような話。いろいろと疑問がわく点はありますが、納得はできます。
「世の中がよくなる」ことに投資する
私たち個人でも、昨日も今日も明日も似たような生活を繰り返しているように見えても、毎日何かをがんばっていれば、ほんの少しずつ改善しているじゃないですか。新たな便利技を思いついたり、何かのムダに気づいたり。
企業や政府でも同じことなので、世の中は徐々によくなります。その成長傾向を自分が取りこぼさないように、資産をその発展の動きにペッグして増やしていきましょう。そして、成長が確定するごとに株価にプラス分が織り込まれるでしょう……という、至極真っ当なお話です。そのためには広く薄く、大きめの指数などに連動するパッシブな運用を行うファンドに投資するのがよい、とされています。
(本稿は、『1億円の貯め方 貯金0円から億り人になった「超」節約生活』を抜粋、再構成したものです)