安定的な皇位継承の確保について
長年の議論に終止符が打てそうな状況に
安定的な皇位継承の確保について、政府の有識者会議が2021年末に打ち出した報告書にある、「女性皇族が結婚後も皇室の身分を保持する(本稿では「単独残留案」と呼ぶ)」や「旧宮家出身の男系男子を養子縁組で皇族とする(本稿では「旧皇族養子案」と呼ぶ)」に、自民・公明・維新・国民の各党が賛成。また、立憲民主党も、曖昧だが少なくとも否定的でないので、長年の議論に終止符が打てそうな状況になってきた。
特に、公明党が曖昧さを残さずに賛成に回ったことが方向を決定づけたと、自民党の保守派も歓迎している。
とはいえ、立憲は野田佳彦元首相が、持論である女性皇族の夫も含めた「女性宮家案」に拘泥している。だが、もしこれが実現していたら、小室圭氏も皇族になり、「殿下」と呼ばれていたはずなのだから、反省が足りない。
野党には、「旧皇族養子案」に難色を示す人もいるが、これ以上、議論に時間を浪費したら、愛子さまや佳子さまの結婚も現行制度で行うしかなく、皇室を離れられることになる。保守派が「単独残留案」に対し、本来は反対だが妥協しようというのだから、野田氏も自説に拘泥すべきでない。
すでに、『愛子さま、佳子さま結婚で「女性宮家」は必要か?皇位継承問題の“3つの論点”とは』で女性宮家などの問題は論じたので、今回は「旧皇族の男系男子の養子縁組」について、主として論じたい。
その前に、これまでの経緯を確認すると、「愛子さまを次期天皇に」という議論は、悠仁さまが誕生されてからは、政治的に議論の対象になったことはない。
2017年に公布された「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」に基づき、2019年に今上陛下が即位され、「皇位の継承に伴い皇嗣(皇位継承順位第1位)となった皇族(秋篠宮殿下)に関しては、皇室典範に定める事項については、皇太子の例による」と法律で定められており、立太子礼と同じ伝統的な立皇嗣礼も実施された。
皇太子は空席でなく、皇嗣(秋篠宮殿下)が今上陛下の子でないので、皇太子という呼称を使わないだけである。勘違いしている人が多いのは困ったことだ。
したがって、次期天皇に愛子さまがなることはあり得ず、現在議論しているのは、悠仁さまの男子継承者がいなかったときの継承候補確保である。