<正解>

 上から順に8歳、3歳、3歳

「3番目のヒントって意味あるのか……?」と、ほとんどの人が思ったことでしょう。
 1番目のヒントはわかります。
 2番目も……ヒントになっているかどうかは怪しいですが、まあギリギリわかります。
 3番目ですよね、問題は。ぱっと見、何のヒントにもなっていません。
 にもかかわらず、その一言で3人の年齢が特定できたのです。どういうことだ……?
 もちろん、すべてのヒントに意味があります。そう、3番目のヒントにも。

第1のヒントでわかること

 1番目のヒントは、

 “全員の年齢をかけると72になる”

 でした。
 そんなわけで、まずは、

「すべてかけると72になる3つの数字」の組み合わせをすべて書き出してみましょう。

 賽の河原で石を積むみたいな、終わることなきタスクのように思えますが、大丈夫。
 ありえる組み合わせはそれほど多くありません。

(1,1,72)
(1,2,36)
(1,3,24)
(1,4,18)
(1,6,12)
(1,8,9)
(2,2,18)
(2,3,12)
(2,4,9)
(2,6,6)
(3,3,8)
(3,4,6)

 これで正解の候補は12パターンに絞れました。

第2のヒントでわかること

 2番目のヒントは、こちら。

 “全員の年齢を足すと今日の日にちになる”

 まずは、12パターンの年齢を、それぞれ足してみましょう。

(1,1,72) = 74
(1,2,36) = 39
(1,3,24) = 28
(1,4,18) = 23
(1,6,12) = 19
(1,8,9) = 18
(2,2,18) = 22
(2,3,12) = 17
(2,4,9) = 15
(2,6,6) = 14
(3,3,8) = 14
(3,4,6) = 13

 第2のヒントでは、足すと「今日の日にち」になると言っています。
 1ヵ月は多くても31日までです。
 つまり、足した数は少なくとも31以下だとわかります。

 そしてもうひとつ、重要な情報が隠されています。
 それは、あなたはこの第2のヒントを聞いても答えがわからなかったということです。
 あなたが今日の日にちを知らなかったという意味ではありません。

 日にちを知っていても、特定できなかった

 という意味です。
 つまり、足した合計が31以下であり、その組み合わせが1つに絞れない、

(2,6,6)
(3,3,8)

 のいずれかが、3人の年齢となります。

第3のヒントでわかること

 3番目のヒントは、

 “いちばん上の子だけアイスが好き”

 でした。
 最初はこのヒントが答えにどう関わるのか、わからなかった人も多いと思いますが、ここまでくれば明らかです。
 大事なのは「アイス」以外の部分。

「いちばん年齢が高い子が1人だけ存在する」

 という情報です。

 第2のヒントまでで絞れた組み合わせのうち、「いちばん年齢が高い子が1人だけ」存在しているのは「3,3,8」の組み合わせのみです。
 すなわち、3人の年齢は「3歳、3歳、8歳」が正解です。

「思考」のまとめ

 正解を導く効率のよいやり方がありそうに見えて、かなり地道な方法で考えていく問題でした。
 まずは、考えられるすべての可能性を洗い出す。
 天才的な解決策をいつまでも考えるよりも、ときにはシンプルな方法が、いちばんの近道だったりすることもあるんですね。

 そうやって洗い出した無数の選択肢も、わずかな条件が加わることで一気に可能性を狭めることができます。
 事前に手を動かして選択肢を俯瞰できていたからこそ、すべての情報をヒントに変えて可能性を絞り込んでいけた問題でしたね。

 状況を俯瞰するには、まずは情報や可能性を洗い出す必要がある
 ・効率よく答えに辿り着こうとせず、まずは地道に考えてみる

(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。)

野村裕之(のむら・ひろゆき)
都内上場企業のWebマーケター。論理的思考問題を紹介する国内有数のブログ「明日は未来だ!」運営者
ブログの最高月間PVは70万超。解説のわかりやすさに定評があり、多くの企業、教育機関、テレビ局などから「ブログの内容を使わせてほしい」と連絡を受ける。29歳までフリーター生活をしていたが、同ブログがきっかけとなり広告代理店に入社。論理的思考問題で培った思考力を駆使してWebマーケティングを展開し、1日のWeb広告収入として当時は前例のなかった粗利1,500万円を達成するなど活躍。3年間で個人利益1億円を上げた後、フリーランスとなり、企業のデジタル集客、市場分析、ターゲット設定、広告の制作や運用、セミナー主催など、マーケティング全般を支援する。2023年に現在の会社に入社。Webマーケティングに加えて新規事業開発にも携わりながら、成果を出している。本書が初の著書となる。