TOEICで高得点を取っても「英語が話せるようにはならない」は、もはや常識。企業ではTOEICに代わるスピーキングテストを活用する例が急増している。スピーキングテストの肝と言える「自由回答問題」の対策用に、2つのテンプレート活用の意義と練習用トピックのソースをお伝えしよう。【前後編の前編】(パタプライングリッシュ教材開発者 松尾光治)
「TOEIC高得点=話せる」は大きな勘違い!
採用基準や昇進・社内研修に、英語のスピーキングテストを活用する企業が急増している。英語力の評価にはこれまで多くの企業がTOEIC L&Rを活用してきたが、このテストで高得点を取っても「英語が話せるようにはならない」のはある意味、当然。L&Rは、「聞く・読む」力、つまり知識とインプットスキルを測るテストだからだ。TOEIC L&Rの2022年度受験者数が197万1000人いるのに対し、「話す・書く」、つまりアウトプット力を測るTOEIC S&Wの受験者数はわずか3万8500人しかいない。知識偏重の日本の英語学習の歪みが端的に現れている。
スピーキング特化のテストとしてはVersant、TOEIC S&W、TSST、Linguaskill Business、GCASが知られている。社会人英語学習者でインプットばかりに追われていた人が、「話す・書く」のアウトプットスキルを向上させるためにも、スピーキングテストにフォーカスしてみよう。このテストで高得点を目指すことは、実際の会話力を上げる重要なステップにもなる。
スピーキングテストの肝となる「自由回答問題」
スピーキングテストでは、与えられるトピックに基づいて自由に回答する問題がある。総合力を測るもので、その対策は最も難しい。英語で自分の意見を的確に述べられる、物事を詳しく説明できる、出来事を分かりやすく描写できるといったレベルを本気で目指すのであれば、自由回答問題でハイスコアを取ることを一番の目標にしたい。
TOEIC L&Rで800点程度を取っているなら、ビジネスシーンの英会話に必要な文法・構文力、語彙力、聞く力、読む力の最低限の基盤はできている。自由回答問題対策を通じて話す練習を積み重ねていけば、英会話に自信を持てるようになるだろう。
自由回答問題に「必勝テクニック」はあるのか?
「テスト対策」というとテクニック的なものを思い浮かべる人も多いかもしれない。この点を考えるために、具体的に3つのテストから例題を見てみよう(一部、模擬テストから引用)。