「今の会社で働き続けていいのかな?」「でも、転職するのは怖いな……」。働き方が大きく変わるなか、悩みを抱える人は多いだろう。高卒から、30歳で年収1000万円超という驚きの経歴をもつ山下良輔さんは、そうした「転職迷子」たちから圧倒的な支持を得ている。著書『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』では、自らの転職経験を全て公開している。
その戦略は「外資系やコンサル業界は、学歴エリートでなくても入れる」「職歴に一貫性はなくてもいい」など、これまでの「転職の常識」を塗り替えるものばかりだ。どうしたら人生を変える転職ができるのか、どうしたらいい会社選びができるのか。今回は本書をもとに、著者がキャリア相談に回答する。(取材・構成/飯田雄、堤国之助 初出:2022年3月4日)

頭がいい人と悪い人「年収を上げるためにやること」の差【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

[質問]
 27歳、女性です。新卒から小売業の本社に勤めて5年目になります。

 現状、額面で年収が約380万です。上司のおおよその年収を聞く機会がありましたが長年働いても大きな年収アップは望めなさそうに感じています。将来を考えると今の会社で働き続けることを悩んでしまいます。

 仕事の内容に特にこだわりはありませんので、業種や職種を変えても年収を上げるための転職をしたいと考えています。また、年収を上げることができて、受かりやすい業界なども教えていただきたいです。

[山下さんの回答]

まず「日本の年収ランキング」を知る

 ひと昔前の日本は、年功序列で同じ会社に長年勤めていれば自然と収入が上がっていくと信じられていました。しかし現在、年齢上昇に伴う収入の上昇ペースはかつてと比べて鈍化しています。場合によってはほとんど収入が上がらないことも少なくありません。そのため、質問者のような悩みをお持ちの方も多いのではと思います。

 収入アップを目的とする場合、誰にでも使える有効な武器として転職があります。ここでは収入を上げるための具体的な転職方法をご紹介したいと思います。

 転職の業界・会社選びで、手始めにやるべきことは、「日本の年収ランキング」をざっくりでいいので知っておくことです。詳細はちなみに『会社四季報業界地図』に掲載された年収ランキング1位の業界は総合商社、2位の業界はコンサルティングです。

 もし業界の平均年収と、自分が望む年収との間にギャップがあれば転職するべきです。

 逆に、業界の平均年収と自分の希望年収との間にギャップが無いにもかかわらず、いまの自分の年収に不満があるのであれば、それは所属している会社の問題になるので、同じ業界の中でより大手や給与が高い会社へ転職するべきです。

 年収アップが目的なら、業界横断での転職を検討したほうがいいと僕は思います。いくら今の会社でがむしゃらに働いても、「上司以上に年収アップ」する可能性は低いからです。

「企業の採用条件が緩くなるタイミング」を狙え

 転職本や転職エージェントなど誰も言わないので不思議に思うことがありますが、会社には大量採用、すなわち「採用条件を緩くしてでも人が欲しいタイミング」があります。このタイミングに転職活動を行えば、転職活動を大きく好転させることができます。ここでは大きく分けて、3種類の転職すべきタイミングをご紹介します。

 1つ目は、外資系企業の「年中無休」採用です。外資はエリートのイメージ強く入社が難しい印象がありますが、実は新卒より中途入社が圧倒的に多い業界です。理由は人の入れ替わりが激しく、辞めた人の補充を年中行っているからです。こうした人手不足の業界は採用条件も緩くなるため、狙い目といえます。

 2つ目は、業績拡大やDXなど特定の取り組みで「人手不足の会社」です。日本の大企業は新卒採用が主流であり、外資系に比べ、中途大量採用のタイミングは限られます。しかし、売上拡大に伴って大量の人が必要となるような、中途採用を「せざるを得ない」場面であれば、入社の可能性も高まります。最近は企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)により、IT人材の需要が急激に伸びています。こうした波に乗ることで、転職を成功させる確率を上げられます。

 3つ目は、「資金調達後のスタートアップ企業」です。スタートアップ企業は大企業と比べて認知度が高くないため、安定した新卒採用ができません。そのため、常に中途採用を活発にしています。特に狙い目なのは資金調達後のタイミングです。資金はあるけれど人がいない状況のため、年収を上乗せしても採用を優先するため、転職者にとっては有利だといえます。