「生きる意味」を探求するのが人生
「人間の真の存在意義」を人間は知ることはできない。
しかし、「これが自分の生きる意味だ」「生きる目的だ」と思う瞬間はあります。
10~20代では、なかなか意味や目的は見つからないでしょう。
仮に10代で「生きる意味」を見つけられたとしても、それが一生同じだということは、たぶんあり得ません。
自分が感じる「生きる意味」や「生きる目的」は、絶対的で固定的なものではなく、変化したり、揺れ動くものです。
言い換えるなら、「生きる」ということは、「生きる意味を考える長い旅」なのです。
一生をかけて「生きる意味」「人生の意味」を考え、死ぬ間際に「(自分の人生は)意味がある人生だった」と思えるのなら、それが幸せな人生だったと言えるはずです。
ある瞬間、「人生の意味がわかった」と思っても、それはいつか変化します。
しかし、「生きる意味」を求めて、思索を深め、行動し、苦悶することには非常に意味があります。そこには、必ず自己成長が起きるからです。
時間をかけて「生きる意味」を考えよう
「生きる意味」「生きる目的」を考え、悩むことはいいことです。
正解を求めて「結論」を出すことではなく、考え続けて自分なりに意味を見出していく「過程」が大事なのです。
ずっと自分と向き合わないと、「自分がしたいこと」や「自分の方向性」がわからず、他人に流された生き方をせざるを得ません。
だから、「生きる意味」についてじっくりと時間をかけて考えましょう。焦る必要はありません。
時間をかけること、そのことに意味があるのです。
私自身、「生きる意味は何か」について自問自答し続け、50歳を越えて、ひとつの結論に達しました。
それは、「生きる意味」より「ビジョン」を重視しよう、という提案です。
「こうしたい」「こうなりたい」という自分の「あり方」。それが「ビジョン」です。
「生きる意味」と「ビジョン」の最大の違いは、「生きる意味」は見つけるものですが、「ビジョン」は自分で決められるところです。
「生きる意味」は何年、何十年かかっても見つからないかもしれませんが、「ビジョン」は自分で決めるだけです。今すぐにでも決めることができます。
精神科医、作家
1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動している。
コロナ禍に30万部のベストセラーとなった著書『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)など40冊以上の著書がある。