それはお得な取引のように思われた。老朽化した住宅と小さな農地を、新築アパート5戸と店舗2軒に交換する取引だった。ベラ・チャオさんの家族は2009年にこの話に飛び付いた。万達集団をはじめとする不動産開発業者は当時、チャオさん一家が住む中国北東部・吉林省の雪に覆われた過疎の村に進出していた。万達は、28億ドル(現在のレートで約4300億円)を投じて、この地域をスキー場やゴルフコース、狩猟場、五つ星ホテルでいっぱいの高級リゾートに変える計画だった。同社は地元住民に対し、彼らの古い家と引き換えに都市部にある多くの新築アパートを提供し、ほぼ一夜にして資産家の村を誕生させた。「私はすごくうれしかった」。当時10代で、その後この物件を相続したチャオさんはこう話す。
中国不動産「おいしい取引」に飛びついた村人の今
古い自宅と新築アパート数戸を交換したが、不動産危機で収益化できず
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