元消防士が株式投資で築いた資産は、なんと8億円! 三重県在住の専業投資家・かんち。49歳で早期退職してからというもの、生活費のすべてを株の配当金でまかなっている。その配当金の総額は、なんと年間2000万円超え。高配当株と株主優待株を組み合わせた「買ったらほとんど売らない」という手間のかからない“ほったらかし投資術”は、初心者の新NISAにも参考になる。「その投資術を知りたい!」と、長年著作の刊行を期待されていたものの、すべて断ってきた投資歴40年のベテランが、初めて著した話題の書『ほったらかしで年間2000万円入ってくる 超★高配当株 投資入門』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものをお送りする。

【資産8億円の元消防士が明かす】「靴磨きの少年」のように「消防士」が株の話を始めてどうなったか?Photo: Adobe Stock

消防士が株式投資に
有利だったワケ

株をやるうえでは、消防士という職業が有利に働きました。

いまでこそ昼休みに数分あれば、スマホで株の売買ができますが、私が株を始めた当時は、証券会社に出向いての対面、あるいは電話でしか買えませんでした。

普通の会社員であれば、株の売買は難しかったと思います。ところが消防士だった私には、平日に丸1日休みがあるわけですから、平日の休日に証券会社へ立ち寄り、売買することができたのです。

勤務中はスマホをしまい込み
株価はチェックしない

証券会社のほうも、若造の私にお金がたいしてないことがわかっていたので、しつこく金融商品をススメてくることもありませんでした。

ネット取引が普及してからも、消防署では、昼休みにときどきスマホで株価をチェックする程度でした。

そもそも消防士は、勤務時間中はスマホをしまい込みます。もし身につけているときに出動となれば、スマホが壊れるかもしれませんからね。

ですから「勤務中にちょっと確認する」といったことは、昼休み以外は、まずありませんでした。

NTT株が共通の話題に

そして、株をやっていることは、しばらく消防署の同僚には明かしていませんでした。

そもそも株に興味がなさそうな人ばかりで、明かしたところであまり共通の話題にはならないだろうと思ったからです。

それでも、1985年に日本電信電話公社から民営化した日本電信電話(NTT)株に関しては、マスコミが大きく報道して話題になったこともあり、消防の同僚にも買った人がいました。

そのときに共通の話題として株について雑談した流れで、何人かには株をやっていることを明かしました。

“平成バブル”の象徴

NTT株は1987年に売りに出されましたが、1回目の売り出し価格は119万7000円。株式分割を考慮した実質ベースだと5867円です。

上場日には買い注文が殺到して値がつかず、翌日に160万円で初値がつきました。

そして、そのわずか2か月後には318万円まで値上がりしましたが、これは“平成バブル”の象徴としても有名な話です。

靴磨きの少年のように
消防士が株の話を始めたら

しかし、「靴磨きの少年が株の話をし始めたら、近いうちに相場が暴落する」と言われるように、普段株の話をしない消防士でさえ、株が値上がりすると思っている状況は、“相場が天井に近いことを示すサイン”であり、近く相場が暴落する予兆かもしれない。

有名な格言の通り、やはり“危険な水域”だったのでしょう。この株価318万円を天井にバブル崩壊となり、その後ずるずると下がり続け、損をした人も多かったと聞きます。

ちなみにNTT株は2000年にかけていったん値上がりしましたが、そこからまた下落。2000年以降、再度売り出し価格を超えたのは、実に2017年のことでした。

※本稿は、『ほったらかしで年間2000万円入ってくる 超★高配当株 投資入門』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。