経済的に恵まれない母子家庭に育ち、高校・大学は奨学金を借りて卒業。そのため、1000万円に迫る“奨学金という名の借金”を背負うことになった。そこで、郷里に母を残して上京、東京国税局の国税専門官となった。配属を希望したのは、相続税調査部門。「どうすればお金に悩まされずに済むのだろう?」と考え「富裕層のことを知れば、なにかしらの答えを得られるのではないか?」と思い至ったからだった。国税職員のなかでも富裕層が相手となる相続税を担当するのは、たった1割ほど。情報が表に出てくることはほとんどない。10年ほど携わった相続税調査で、日本トップクラスの“富裕層のリアル”に触れた『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)の著者が、富裕層に学んだ一生お金に困らない29の習慣を初公開する!(初出:2023年5月14日)

【元国税専門官が明かす】富裕層の知られざる“へそくり事情”【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

専業主婦が数千万円単位のへそくり

【前回】からの続き 私が新人の税務職員の頃、ベテラン職員から「コバちゃんの調査事案、ちょっと資料を見せて」といわれて渡したところ、「奥さんの預金が怪しい」と鋭い指摘をされたことがあります。

亡くなった夫が多額の収入を得ており、妻は無職の専業主婦だったことに目をつけたのです。過去の申告状況を見ても、妻のほうに多額の収入は見込めません。

そして税務調査をしたところ、妻が数千万円単位の多額のへそくりを抱えていたことがわかりました。これが後に相続税の追徴課税につながったのです。富裕層は家計の管理を家族に任せているケースが多いため、こうした多額のへそくりが生まれやすいです。

半数以上がへそくりしている?

野村證券によるへそくりに関するアンケートを見ると、男女ともに半数以上が「へそくりがある」と回答していました。とくに女性のほうがへそくりを貯めている割合が高く、なかには1000万円を超える金額の人も少なくありません。

【元国税専門官が明かす】富裕層の知られざる“へそくり事情”【書籍オンライン編集部セレクション】

税務署員の目のつけどころ

富裕層の家庭の場合、やはりへそくりの金額が大きくなりがちです。もちろん、「へそくりはありますか?」などとダイレクトに尋ねるわけではないのですが、亡くなった人やその家族の預金口座の動きなどを追うと、やがてへそくりの存在にたどり着くことがあります。

たとえば、生活費が月30万円程度なのに、毎月100万円を自由に使える状態になっていたら、毎年840万円の余剰資金が生まれます。ここに、多額のへそくりの原資があるわけです。【次回に続く】

※本稿は、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。