目標のない人には誰もついてこない

 ここでわかる通り、リーダーやマネージャーが最初にやらなければいけないことは、社員の目標を聞くことではなく、自分から目標を宣言することです。つまり、自分のキャリアに対する考えをしっかり持って、見本にならねばならないのです。

 部下である社員は、なにも言いませんがリーダーの背中を見ています。一方的に目標を聞いてくるだけで、自分の目標を宣言できないリーダーには、残念ながら誰もついて行こうと思いません。

 リーダーやマネージャーの言葉には、引力があります。なにかを命令せずとも自然と社員が頑張りたいと思えるような職場にするには、まずは自分が夢や目標を隠さずに伝えることがなによりも重要なのです。

 もし、皆さんのなかに、リーダーやマネージャーから目標を聞かれることが多いという方は、自分の目標を言う前に、リーダーやマネージャーに目標を聞いてみてください。

いい職場にできるかどうかは「リーダーの姿勢」で決まる

 また、日本人は「謙虚であること」を好み、大人になると素直に自分の夢や目標を宣言すると「世間知らず」「空気が読めない人」と見なされることがあります。まさに研究室長に立候補したときの私がそうでしょう。

キャリア面接

 夢や目標を語らないことが美徳とする雰囲気すらありますが、それでは大きな成長は見込めません。加えて、「ここでは自分がやりたいことを胸を張って言ってもいい」「誰も自分の夢や目標に対して否定的なことを言ってこない」と部下が安心して働ける環境にできるかどうかは、優れた人事制度ではなく、リーダーが目標を宣言できるかどうかで決まるのです(上図)。そのことを私は研究室長時代に知りました。