「部下たちをグングン成長させていく組織のリーダーは『最初に決めていること』があります」
そう語るのは、これまで3500社以上の導入実績がある組織コンサルタントである株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏だ。「会社員人生が変わった」「誰も言ってくれないことが書いてある」と話題の著書『とにかく仕組み化』では、メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理などで悩むリーダーたちに、仕組み化のメリットを説いた。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、部下を成長させる指導方法を解説する。(構成/種岡 健)

部下たちをグングン成長させていく組織のリーダーが「最初に決めていること」Photo: Adobe Stock

「距離感」という仕組み化

 チームや組織が「正しい危機感」を持つために、実際にどのような「仕組み」をつくるべきでしょうか。

 ここで知っておいてもらいたいのは、人は、会ったことのない人に「恐怖感」を持つ生き物ということです。
 テレビの有名人も、大企業の社長も、会う前にはどんな怖い人かと思うはずです。

 しかし、実際に会うと、物腰が柔らかくて、優しい人がほとんどです。

「思ったより、いい人だった」

 ということがほとんどでしょう。
 人間には、そういう思い込みを持つ脳のクセがあります。

 それを逆手に取るといいでしょう。
 ほとんど会ったことがなかったり、たまにしか会わなかったりすると、人は緊張をするのです。
 そして、頻繁に会い、仲良くなると、緊張感がなくなります。
 単純な仕組みです。

最低限のコミュニケーションにしよう

 人の上に立つためには、会う回数や話す時間を意識的に減らすことが重要です。
 コミュニケーションの方法を変えるのです。
 まず、話を聞く回数と時間を決めておきましょう。

「打ち合わせは週1回にします」
「30分以内に終わらせましょう」

 などと、あらかじめ決めるようにします。
 そして、それ以上は、増やさない。話を聞きすぎない

 面倒見がいい人は、ここがブレます。
 とにかく時間をかければいいと思い込んでいます。

 もちろん、大きなトラブルが生じたり、部下から相談を求められたりしたときは、それに応じるべきです。
 そのときに、「30分以内で」などと時間を制限する必要はありません。

 しかし、長々と説教をするようにして、部下にとっては「話を聞いてもらった~」という安心感を与えることは間違った指導方法なのです。
 自分から部下の問題を拾いに行って解決しようとするスタンスはNGです。
 そこに労力を割くのではなく、自分の仕事に集中すべきです。

 人の上に立つ人は、「距離感を保つ」「制限時間をつくる」という仕組みを実践してみてください。
 実際にやってみると、部下が自分で考えて結果を出すようになります。

(本稿は、『とにかく仕組み化』より一部を抜粋・編集したものです)