
金利上昇時代における銀行の“飯の種”は、何といっても預金だ。山口県の西京銀行は預金残高100万円以上の新規口座開設者に最大5万円を進呈するキャンペーンを実施し、大胆な預金獲得に動いた。各行の預金獲得競争が激化する中、特集『銀行実力番付2025』#4では、全国103行の預金増減率ランキングを作成。預金が増えた銀行、減った銀行の一覧表をお届けする。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
西京銀行は口座開設者に5万円
金利上昇で高まる預金の重要性
金利ある世界へと移行し、銀行の生き残りを左右する指標として改めて注目を集めているのが、預金だ。
低金利が長く続いた時代、銀行は余剰資金をどう運用するかに頭を悩ませていた。
しかし、金利が上昇局面に入ったことで状況は一変。資金を集めて利ざやを確保する本来のビジネスモデルが再び機能し始めている。
その象徴が、西京銀行による大胆な施策だ。同行は山口県内居住者を対象に、預金残高が100万円以上の新規口座開設者に最大5万円を進呈するキャンペーンを展開。相応のコストはかかったものの、3月末時点での新規口座数は10万2000件に上り、預入金額は約1300億円増加した。同行は「個人預金の増加に加え、粘着性の高い定期預金の獲得につながった」と振り返る。
もちろん、こうした手法には異論もある。地方銀行関係者の間では「キャンペーンによる預金獲得は一時的ではないか」といった見方が多く、長期的に見てどれほどの定着につながるかは見極めが必要だ。それでも、メガバンクやネット銀行を含む全国規模での預金獲得競争がすでに勃発しているのは確かであり、その動向は銀行経営の行方を占う材料となる。
そこでダイヤモンド編集部は、2025年3月末の預金残高が3年前の22年3月末時点の預金残高と比べてどれほどの増減があるかについて、「QUICK Finer Compass」のデータを基に算出。預金が大きく増加した順に並べた「預金増減率ランキング」を作成した。
すると、2位の西京銀行を上回り、トップに立った地銀が明らかになった。一方で、預金残高が減少した銀行も15行に上る。次ページで、全103行の預金増減率ランキングを公開する。