4コマエッセイマンガ『崖っぷちの自我』

ぼんやりとした都会への憧れから東京に出たけれど、なにひとつ皆と同じようにできず、「どうして私だけこんなにダメなんだろう」と思い悩んでしまう……。しかし、その感情はきっと、あなた1人だけが抱えているものではありません。地元のブラック企業を1年でやめ、マンガ家を目指し上京した自我野氏の4コマエッセイマンガ『崖っぷちの自我』(扶桑社)の一部を抜粋・編集しお送りします。

上京11年目の限界女子が考える
日常のライフハック

 自我野です!ビッグなマンガ家になる!と言って田舎から上京したものの、生活のためのバイトに明け暮れてたらいつの間にか11年経ってた中年女性です!

 地元のブラック企業でボロボロになり1年で退職し、「どうせボロボロになるなら一番好きなものでボロボロになりたい…」という決意とともに、2012年にマンガ家を目指して上京しました。

 よ~しマンガ家になるぞ~って田舎から上京したはいいものの、目にも留まらぬ速さでスピード挫折してしまいボキボキに折れて、お金がなさすぎたのでなんとかバイトしつつ確か半年ほど寝込んだんですが、なんか……そのころつらかったな~って。

 自分が夢見ていたマンガ家=商業マンガ家のことで、雑誌で連載し単行本出して生活するぞ!って思ってました。でもいざやろうとしたらあまりの適応のなさに衝撃を受けました。まっっったく向いてない。なぜかというと……私、人がなにを言ってるのかよくわからなかったんです(アホ)!

 商業的な作品にはほぼ必ず「修正」という作業があるんですが、編集さんと打ち合わせ→わかりました!こういうことですね!→違う違う!という無のやり取りを繰り返してしまったり……バイト中に口頭で指示を受けた時にも思うんですが、言葉を聞き取って理解する力が少し弱いのかな?と感じています。理解できてるつもりが間違った解釈をしていたり。

 仕事後の雑談だと大丈夫だったりするので、身構えるとだめになるのかな。聞こえてはいるけど、言葉が頭の中で組み立てられないときがあります。工程が同時に何個もあるようなことだったり、抽象的だったりするともうお手上げでした。なので編集さんにお願いしてメールのみでやり取りしてもらったり、工夫はしてみたのですが……。

 その上、なんと、プレッシャーに死ぬほど弱かったんです……!!これまた必ずある「締め切り」を一度提示されるとなぜか部屋をグルグル歩き回り続ける意味のない行動を取ってしまったり、おもむろに血尿が出たり、なぜか体がうまく動かなくなってしまいました。血尿を出しつつどうにか提出しても、我ながら死ぬほどつまんねえ出来になったり......ええかっこしい特有の「周りの人から好かれたい、良く思われたい」が発動して保身の塊=ゴミクソを生んでいました。

 そんな日々から早11年が経ちますが、いまだにバイト生活を抜けられず。今回はそんな私が日々を生き抜くために考えている密かなライフハックを紹介したいと思います。