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米オラクル・コーポレーションの日本法人で東京証券取引所1部上場企業でもある日本オラクル。同社の野坂茂・副社長は最高財務責任者(CFO)の重要な役割は、CEO(最高経営責任者)のよき相談相手となることであり、そのためには営業やマーケティング、製品開発など専門外の分野においてもCEOにキャッチアップできるだけの知識やスキルを身につける必要があると説く。(構成・編集/ジャーナリスト 田原寛)
1976年丸紅入社、アップルコンピュータ、日本通信上席執行役最高財務責任者などを経て、2002年4月日本オラクル入社、同年8月取締役常務執行役員最高財務責任者ファイナンス本部長、04年6月取締役専務執行役員などを経て、11年6月から現職。
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向こう20年のキャリアを見通して
ファイナンスの道を選んだ
日置氏 野坂さんはCFOになられるまで、どんなキャリアを歩んでこられましたか。
野坂氏 CFOのポジションに到達するには大きく分けて2つのキャリアパスがあると思うのですが、一つは財務・経理部門を歩んだ末に到達するパス、もう一つは営業やマーケティング、経営企画などから上がっていくパス。
トーマツグループCFOプログラム、デロイト トーマツ コンサルティング・グローバルマネジメントインスティテュート・シニアマネジャー。日本CFO協会主任研究委員。早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。
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私は前者のほうで、キャリアとしての出発点が総合商社の事業部門におけるアカウンティング(経理)でした。同じアカウンティングでも、現場にいて事業部をサポートする経理と、会社全体の連結決算を扱うようないわゆるコーポレート・アカウンティングがありますが、私の出発点は事業部のアカウンティングです。
総合商社に12年ほどいるなかで、アルジェリアに5年間駐在したこともあります。私が駐在していた1970年代終わりから80年代初めにかけては政権が安定しており、人々は非常に親日的で、治安も問題はありませんでした。