「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」どれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、山口氏による話題の最新刊「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の中から、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。
STEP3の「伝達力」は言語化力の仕上げの部分
本書では、言語化力を高めるためには、STEP1「語彙力を」を伸ばす→STEP2「具体化力」を鍛える、という2つのSTEPを踏むことが大事だと説明してきました。そしていよいよSTEP3。それが「伝達力」。いわゆる相手に「伝える力」です。
「伝え方」について書いた本は多くありますが、この「伝え方」はあくまで言語化の最終仕上げの部分です。ここでは、STEP3の「伝達力」とはどのようなものなのか考えてみましょう。
言葉は相手へのプレゼント
私は、言語化して相手に届ける言葉や文章というのは、相手へのプレゼントだと思っています。
今から30年近く前、私はプレゼント選びで大失敗をしたことがあります。交際中の彼女(現在の妻)に渡すプレゼントとして選んだのは、緑色の壺。彼女の興味やニーズを把握せずに、私はそれを選びました。彼女からは、「拓ちゃん(私のあだ名)とはこれからも付き合っていきたいからはっきり言うけど……、プレゼントをくれるなら私が欲しい物をちょうだい」と言われました。ごもっともです(笑)。
こんな風に一人よがりなプレゼントでは、相手の心に届きません。プレゼントを贈る目的は、「渡す」ことではなく「相手に喜んでもらうこと」。だから「相手が欲しいものは何かな?」「ちゃんと喜んでくれるかな?」と、相手の立場に立って届けることが大事なのです。
言語化もそれと同じです。「伝える」ではなく「伝わる」ことに意識を向けてみてください。そうすれば、「えっ、どういうこと?」と、すれ違うことはなくなるでしょう
*本記事は、山口拓朗著「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」から、抜粋・編集してまとめたものです。