「虎に翼」ヒロインのモデル・三淵嘉子と
日本人で2人目の女性宇宙飛行士・山崎直子

「虎に翼」ヒロインのモデルとなった三淵嘉子「虎に翼」ヒロインのモデルとなった三淵嘉子 Photo:JIJI

 東京・文京区にあり、国立大の附属高校で唯一の女子校だ。旧制の高等女学校としても日本最初の創立で、女子教育の草分けだ。多分野にわたり個性ある人材を送り出してきた。略称は「お茶高」だ。

 NHKの朝ドラ(連続テレビ小説)として今年4月から「虎に翼」が毎朝(午前8時から15分間、日曜日は除く)放送されている。そのヒロイン・猪爪寅子(ともこ)のモデルとされたのは、日本初の女性弁護士、女性判事および家庭裁判所長となった三淵嘉子(よしこ・1914~84年)だ。

 三淵は、東京女子高等師範学校附属高等女学校(現在のお茶の水女子大学附属高校の前身)を卒業し、進歩的な考えを持つ父親の影響を受け、当時、女子に唯一、法学に門戸を開いていた明治大学専門部女子部法科に入学、明治大法学部に進んだ。1938年に高等文官試験司法科に合格し、明治大を卒業した。この試験では「男子タルコト」という記述が「成年者タルコト」に改められたことで、受験が可能になった。

 1940年に第二東京弁護士会に弁護士登録をした。これにより、明治大同級の中田正子(東京府立第二高等女学校・現都立竹早高校卒)と、1学年下の久米愛(大阪府立夕陽丘高等女学校・現夕陽丘高校卒)と共に日本初の女性弁護士となった。この時の合格者総数は242人で、女性は3人だけだった。

 裁判官になり、新潟家庭裁判所長、横浜地裁所長などを歴任した。1980年に再び弁護士となり、労働省男女平等問題専門家会議の座長などを務めた。84年5月に死去、69歳だった。

 女性宇宙飛行士の山崎直子の知名度が高い。お茶高から東京大に進学、航空宇宙工学の修士を修了して宇宙開発事業団(現宇宙航空研究開発機構・JAXA)に入った。向井千秋(慶応義塾女子高校―慶応大医学部卒)に続き、2人目の日本人の女性宇宙飛行士だった。

 2010年4月にスペースシャトル「ディスカバリー号」に搭乗し、ケネディ宇宙センターから打ち上げられた。2児の母親であり、11年にJAXAを退職した。宇宙政策委員会委員や、21年には公益財団法人日本宇宙少年団理事長に就いている。

 山崎直子のフライトでは、お茶高のOGでJAXA職員の3人がバックアップした。松本暁子(1984年卒)は山崎の主治医の役割を果たし、山崎と同期の杉田尚子(89年卒)と、谷瑞希(2004年卒)が専門職員として支援した。「ディスカバリー号」には、公式飛行記念品として同高校のミニ校旗が搭載されていた。