今輝いている
3人の卒業生
世界に雄飛する音楽家を輩出している桐朋女子高校。音楽科より先に開設されている普通科でも、社会の各方面で活躍する女性をたくさん送り出している。
まずは今、輝いている卒業生を3人、紹介しよう。
小説家の桐野夏生の存在感が年々、大きくなっている。今や「文壇の大御所」といっていいだろう。
1999年に『柔らかな頬』で直木賞を受賞、作品を発表するたびに各種の文学賞を獲得し、その数は計十数賞にもなる。2021年5月からは、言論の自由、表現の自由を擁護する日本ペンクラブの第18代会長に就いた。女性初の会長だ。
桐野は、社会派ミステリー小説で新境地を開き、多くのファンがいる。作品にいわゆる「善人」が登場することは、まずない。多くがテレビドラマや映画になっている。
ペンネームの「桐野」は、幕末の薩摩藩士・桐野利秋からとったというが、桐朋女子高校の「桐」に通じるものがある。
桐朋・女子から成蹊大学法学部に進み、卒業後、フリーター生活をおくり24歳で結婚した。子供ができたため、家でできる仕事としてモノ書きを選んだという。「経済的自立がなければ、人格的な自立もない」という確固とした考えの持ち主だ。
桐朋女子中・高校は七十周年記念作文・絵画コンクールを、2010年に実施した。桐野が作文部門の審査員を務め、最優秀賞は「桐野夏生賞」とネーミングされた。