今、学生や転職者から最も人気の就職先の一つがコンサルティング業界だ。数多くの志望者の中から、一握りの有望な人材を見抜くために、この業界にはフェルミ推定やケース面接と呼ばれる独特の入社試験がある。では、コンサルタントである面接官は志望者のどこを見て評価を下しているのか。
新刊『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』は、大手コンサルティングファームで実際に出題された問題を集め、現役で活躍するコンサルタントに解答してもらうことで、コンサル流の思考法をノウハウとして凝縮した1冊だ。就活対策にはもちろんのこと、思考力のトレーニングにも最適だ。本稿では「フェルミ推定で面接官がチェックする3つの力」について本書から一部を抜粋して紹介する。

外資系コンサルから内定が出る人に共通する3つの力、論理的思考力、説明力あと1つは?Photo: Adobe Stock

面接官が評価する3つの能力

 面接官はフェルミ推定問題から皆さんのどのような能力を評価しようとしているのか押さえておきましょう。

 面接官は大きく次の3つの能力を総合的に評価しています。

①論理的思考力(ロジカルシンキング)

 これはフェルミ推定の本質である「わからない数字をわかる数字に分解すること」を適切にできているかという視点です。

 面接官は、皆さんがわからない数字を抜け漏れや重複がないように適切に分解できているか、また未知の値を分解する際の切り口は論理的で違和感のないものかを評価しています。

 現実の数字に近いかどうかではなく、「わからない数字」が、納得度の高い「わかる数字」の組合せになっているかがポイントです。

②説明能力(プレゼンテーション)

 実際の面接では、15分から30分の短時間でフェルミ推定を行うことが求められます。

 進め方は、面接官と話しながら検討する場合もあれば、思考時間を与えられてひと通りフェルミ推定を終えたうえで面接官に説明する場合もあります。いずれの場合も自分の思考プロセスをいかに論理的にわかりやすく伝えられるかが重要です。

 フェルミ推定では計算用紙を渡されます(オンライン面接の場合は自分で用意します)が、選考突破者の多くは、その紙を単なる計算に使わず、面接官に自分の思考をパッと見て理解してもらえる「プレゼン資料」として活用しており、わかりやすい表形式で場合分けと数値設定、計算結果を示しています

③修正能力(柔軟性・即興性・人間性)

 フェルミ推定問題では短時間で未知の値を推定するため、検討の粗さはどうしても残ります。

 現実に即した場合分けは、考えれば考えるほど細かく設定できますが、時間制限があるので、ある程度の粗さを残して思い切って推定することになります。

 その粗さに対して、面接官は「この部分については、○○のような場合もあると思うけど、どうでしょう?」などと質問します。適切かつ即座に面接官の意図をくみ、自分の粗さの残る回答をより良いものへと修正できるかがポイントとなります。

 また、質問に対する皆さんのリアクションもよく見られているので要注意です。

 フェルミ推定問題に限った話ではないですが、面接官は現役のコンサルタントが務めることが多いので、「厳しいフィードバックを受け入れて、自分の成長につなげられる人間か」「一緒に仕事をする際に、建設的な議論ができる人間か」といった、実際に一緒に働けそうかという視点から皆さんの言動を評価しています。

 したがって、面接官の鋭い質問に対して苛立ったりせず、意図がわからない場合は確認して適切に修正対応するなど、皆さんの高い人間性を示しましょう。

外資系コンサルから内定が出る人に共通する3つの力、論理的思考力、説明力あと1つは?

(本稿は『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』から一部を抜粋・編集したものです)