コンサルを使って「大金をドブに捨てる会社」と「伸びる会社」の差…スタート時点で即バレPhoto:PIXTA

コンサルティング会社と契約し、戦略立案や業務改善を依頼しても、そこから伸びる会社と伸びない会社で明暗が分かれる。同じようにコンサルの助けを借りているにもかかわらず、何が勝敗を左右しているのか。独立系コンサルの現役経営者が、自らの業務経験をもとに前後編で解説する(本記事は前編/後編はこちらから)。コンサルに依頼するときのコミュニケーションに着目すると、そのポイントが見えてきた――。(森経営コンサルティング代表取締役 森 泰一郎)

意外と知られていない
「コンサル活用術」とは?

「コンサルタントになる方法」「コンサルに学ぶ仕事術」などをテーマにしたビジネス書が世の中にあふれている。

 かくいう筆者も、昨今はコンサルティング事業を立ち上げたい大手〜中堅企業から相談を受けることが多く、そうした企業に向けて「コンサルタント養成」に関する書籍を執筆中だ。

 その一方で、「コンサル会社をうまく活用する方法」を詳しく解説した書籍や記事は、世の中にあまりないように思われる。システムコンサルやSIerとの付き合い方について「システム構築を丸投げしてはいけない」と指南する記事は見かけるが、それくらいである。

コンサルを使って「大金をドブに捨てる会社」と「伸びる会社」の差…スタート時点で即バレ本連載の著書プロフィール
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 そこで今回は「コンサルに依頼しても伸びない会社と、伸びる会社を分けるもの」について解説していきたい。筆者は独立系コンサルの現役経営者として、日々さまざまな顧客と向き合っている。そこで気付いた点を「前後編」でお伝えしていこう(本記事は前編)。

 ただし、筆者の専門領域は経営コンサルであるため、本稿で言及する「コンサル」が経営コンサルを指していることをご了承いただきたい。システムコンサルや人事コンサルなど、他領域には必ずしも当てはまらない場合がある。

 また、本稿で想定している顧客(クライアント企業)は、主に大手~中堅企業を前提としている。中小企業向けのビジネスでは、クライアント企業に深く入り込む人間力こそが重要なケースが多々あり、ロジカルなコンサルティングスキルは時として逆効果になる。コンサルと顧客の付き合い方が特殊であるため、別の機会に触れたい。

 それでは本題に入る。筆者の考えでは、コンサルをうまく活用して成長できる会社と、そうでない会社を分ける分水嶺(ぶんすいれい)は「発注の仕方」にある。一体どういうことか。