ニューヨーク市民12人で構成される陪審は、業務記録改ざんに関する34件の重罪でドナルド・トランプ前米大統領に有罪評決を言い渡した。刑事事件で大統領経験者が有罪評決を受けるのは米史上初めての事態だ。米国は何と不安定な時期を迎えたことか。判事はトランプ氏を投獄するのだろうか。有権者はこのでっち上げられた事件に嫌悪感を抱き、11月にはとにかく同氏を大統領に復帰させるのだろうか。もし有罪評決が控訴審で棄却されたらどうなるのか。共和党は報復に出るだろうか。国民は間もなく、今回の乱暴な展開を後悔するかもしれない。30日の有罪評決は、マンハッタンの陪審員候補の性質を考えると、全く驚くべきことではなかった。もしトランプ氏が幸運に恵まれていれば、映画「十二人の怒れる男」でヘンリー・フォンダが演じたキャラクターのように頑固で疑い深い陪審員が1人か2人現れ、その結果、少なくとも評決不能の状態になったかもしれない。代わりに幸運だったのはマンハッタン地区検察のアルビン・ブラッグ検事だ。同検事は、トランプ氏に対する4件の起訴のうち最も根拠が弱い案件を担当したものの、何とか最初に有罪評決まで持ち込むことに成功した。