出迎える時や招いた人をもてなす時のシンプルで素敵な一言
この連載は、日本郵政や法務省、日本コカ・コーラ、日産自動車など多くの省庁や企業で講演や研修を担当し、15年間にわたって約7万人の老若男女にコミュニケーションを教えてきた『オトナ女子のすてきな語彙力帳』の著者、吉井奈々さんによるものです。
本書の読者からは、
「自分の言葉の引き出しが増えた!」
「載っている言葉を1つでも多く使いたいと思った」
「繰り返し読みたい本になりました」
といった感想がたくさん届いています。
相手も自分も大切にするコミュニケーションのヒントが満載の本書から、好印象につながるもてなしの一言をご紹介します。
素敵な印象を残すシンプルな一言
仕事やプライベートを問わず、出迎えるときや招いた人をもてなすとき、どんな言葉を使っていますか?
一般的には、
「こんにちは」
「お疲れ様です」
などの一言ですが、素敵な印象を残すためにこんな一言はいかがでしょう?
「ようこそおいでくださいました」
「ようこそ」は「来てもらったことへの感謝や歓迎の気持ち」を表します。満面の笑みとともに伝えられるといいですね。
遠方からの来訪者には、
「ようこそ、お運びくださいました」
がおすすめです。
「お運び」とは「足を運ぶ」の意味。ここまでに費やした時間や労力、お金などすべてに感謝を込める大和言葉です。
悪天候の日に
天気がすぐれない中で来てくれた方には、
「雨の中、ご足労いただきありがとうございます」
の一言を。
「ご足労いただき」は天候や距離にかかわらず、足を運んでくれたことへのねぎらいを込めた表現です。
お茶菓子を出すとき
お客様にお茶やお菓子を出すときは、こんな一言を添えると上品ですね。
「ほんのお口汚しですが、」
「心ばかりですが、」
食べ物の手土産を渡すときにも使える表現です。
「お口汚し」と聞くと、まずいものと解釈してしまいがちですが、本来は「少量の」という意味の大和言葉。とくに年配者や目上の人に用いるのに適した美しい言い回しです。
ただ、現代的な感覚の人には、やや謙遜し過ぎな言葉に受け取られることも。その場合は「心ばかりですが」のほうが自然な印象かもしれません。
滞在する人に
宿泊する方などには
「ゆっくりとお過ごしください」
の一言を。相手がくつろげるように、緊張をほぐすひと言です。
細かい言葉遣いよりも「喜び」を伝えて
人をもてなすときに最も大切なのは、間違いのない言葉遣いではありません。いちばんは相手を歓迎する気持ちです。しかし、どんなに「来てくれてうれしい」と思っていても、それが伝わらなかったら気持ちがないのと同じです。そこで、歓迎の気持ちを「喜び」として表現してみましょう。相手の心にも響きやすくなります。
(本記事は『オトナ女子のすてきな語彙力帳』をもとに編集しています)