子どもの頃に「おとなしい」と言われて嫌な思いをした方は多いのではないでしょうか。言っているほうは悪気はなくても、「おとなしい」という言葉にはどこか否定的な響きがあります。「内向的」という意味合いが込められている場合が多いからです。「外向的」な性格で悩んでいる人には会ったことがありませんが、「内向的」であることはよくないことと世間では受け止められてきました。しかし「内向的」な性格にも長所はたくさんあるのです。 世界の大富豪イーロン・マスク、「ハリー・ポッター」シリーズの生みの親JK・ローリング、アップル共同創業者のスティーブ・ジョブズなど、世界の偉人とも言われる多くの成功者は、子どもの頃に内向的な性格でした。一人で深く思考を重ねるのが好きでした。だからいじめの対象になることも少なくありませんでした。しかし彼らは、ある時点で自分を成長させ、自分の良さを保ったまま、世に出ることができたのです。本連載では、最新の脳科学研究から明らかになった、「おとなしさの真実」とさまざまな「性格をリセットして成長させる方法」をお伝えします。
問題は、「神経症傾向」があるかないか
よく言われるのは、内向型は落ち込みやすく、マイナス思考になりやすいということです。
しかし内向性そのものは、プラスでもないニュートラルに近い状態であって、マイナス思考の根本的な原因ではないことがわかっています。
上のグラフを見てみてください。
1173人の自尊心を調べたデータですが、内向型の人でも神経症傾向が低い人は、外向性が高い人と同じくらいの自尊心を持っていることがわかります。自尊心とは、自分を尊敬するレベルで、いわゆる自信に近い心理状態です。しかし、神経症傾向が高いと、内向型の人は、自尊心がグッと下がってしまいます。外向性が高い人は神経症傾向でもあまり自尊心には影響はないようです。
つまり、内向型だったとしても外向型の人と同じくらいの自信を持てることを意味しています。
一番問題なのは内向性ではなく、神経症傾向だったのです。マイナス思考になるのは、「神経症傾向」の性格が大きく関係していることがわかってきています。
※本記事は『「おとなしい人」の完全成功マニュアル 内向型の強みを活かして人生を切り拓く方法』西剛志(ダイヤモンド社)より抜粋したものです。