PTA会費「払って当然」に異議あり!親や先生が「裁判を起こした」意外な結果とは?Photo:PIXTA

保護者・教員によるPTAへの加入は、本来は「任意」であって「強制」ではありません。にもかかわらず、加入意志を確認しないまま会費を徴収するPTAがいまだに多くあります。近年は、そうした組織体制のおかしさに気付いた保護者や教職員が、PTAを相手取って調停や裁判を起こす例が見られるようになりました。その結果はどうなったのでしょうか? PTA・学校・保護者に豊富な取材経験を持つ筆者が解説します。(ライター 大塚玲子)

「入会届」がないのに会費徴収
「ヤバいPTA」の裁判沙汰がじわり増加

 先日たまたま「この春、PTA会長になりました」という方にお会いしたのですが、その方はちょっと心配そうな顔で、筆者にこんなことを尋ねてきました。

「大塚さん、うちのPTAって入会届がなくて、会費が勝手に引き落とされるんですよ。これってヤバいですよね?」

 もちろん「ヤバいですね」と答えましたが、よくある話ではあります。昨今、PTAの加入が実は任意であることが知られるようになり、入会届を配布して加入意思を確認するところがだいぶ増えてきましたが、全体から見ればまだ一部のこと。地域によってはまだ、加入意思を確認しないままPTA会費を徴収するやり方が一般的です。

 でもやはり、このやり方はそろそろやめどきじゃないかと思うのです。最近は、加入意思確認ナシで会費を徴収された保護者や教職員が、調停や裁判を起こす例が散見されます。

 2023年には鹿児島県の公立高校の先生が、給料から天引きされたPTA会費の返還を求めて訴訟を起こし、ニュースになりました。新聞やテレビで見たよ、という方も多いのでは。おそらく今後も、こういったケースは増えていくでしょう。

 PTAの調停・訴訟はなぜ起きて、どんなふうに決着しているのか? 鹿児島県の事例の他にも、いろいろと情報が入ってきているので、筆者が最近取材した例を紹介しましょう。