中国製電気自動車(EV)への対応で、欧州の政治家たちに楽な選択肢はない。ジョー・バイデン米大統領が先月発表したように中国製EVに100%の関税を課せば、中国は欧州連合(EU)から輸入している年間30万台以上の高級車に対してたやすく報復できる。だが、現行の10%関税のままでEU域内への中国製EVの流入を許した場合、中国側のコスト面の優位性約30%と優れた技術を考えれば、中国企業が市場シェアを奪う道が開かれる。EUの欧州委員会は今週、中国のEV補助金に対する9カ月間に及ぶ調査の結果を発表する見通しだ。欧州委が取る可能性が最も高い方策は、慎重な妥協案、すなわちコストが低い中国からの輸入EVにほぼ匹敵する競争力を欧州製EVに持たせるために、中国製EVに25~30%の追加関税を課すというものだ。それでも報復を招く可能性があるが、欧州委は経済的・戦略的に重要な産業を守るために何らかの対応を取らざるを得ない。