学歴詐称であれば政治家の根幹が問われる
小池氏が学歴詐称であるかどうか、筆者には判断する材料はない。もし学歴詐称が事実であれば、公職選挙法違反になるだけでなく、政治家としてもっとも重要な人格に大きな疑問符がつくことになる。
振り返ると、米国のクリントン元大統領の不倫事件においても、不倫そのものよりも、クリントン氏が「ウソをついたこと」が、弾劾裁判にまで至った理由である。
それゆえ、もし小池氏の学歴詐称が事実であれば、世界標準としては完全にアウト。日本の政治や政治家の資質そのものが、世界から恥ずかしい形で注目されることになる。
大手新聞社やテレビ局は、この点についての追及が実に甘いと感じる。都庁の記者クラブに席を置くことで忖度が当たり前になり、追及の鉾が鈍っているに違いない。
世襲政治家ではない!小池氏・蓮舫氏の共通点
さて、前置きはこれくらいにして東京都知事選の話に進もう。30人超の候補者の中には、石丸伸二氏(前安芸高田市長)のような興味深い人物もいる。が、やはり小池氏と蓮舫氏の一騎打ちに近い構造になったと言えるだろう。
2人には、いずれもテレビキャスターとして知名度を高めた後に政界入りした、女性政治家という共通項がある。
ただし、それだけではない。小池氏と蓮舫氏は、「世襲政治家ではない」点でも共通する。
自民党では、両親か三等身以内の親族が同一選挙区の国会議員だった割合が3割にもなる。
首相に限定すると事態はもっと深刻だ。1990年以降、自民党出身の首相のうち世襲議員でないのは、海部俊樹氏と菅義偉氏、森喜朗氏のみ。ただし森氏は、親が町長であったので、十分な地盤があった実質的な世襲政治家といえる。民主党出身の首相でも鳩山由紀夫氏は世襲だ(
筆者は、世界各国の政党に関する書籍を執筆するため、その実態を調査してきた。ここまで世襲政治家が首相になる民主主義国家は実にまれだ。
一方、小池氏と蓮舫氏は世襲議員ではなく、自らの力でキャリアを切り開き、今の地位を獲得した点はもっと評価されても良いと思う。
さらなる共通項としては、2人とも留学経験者である。小池氏はカイロ大学(卒業は怪しいが留学自体は本当であろう)、蓮舫氏は北京大学に留学している。
東京は世界の大都市と比べても、行政をはじめとした諸手続きから英語が排除され、多くの大学においても日本語中心で授業が行われているため留学生が来ないなど、国際化が大変に遅れている。
今後も(観光以外で)多くの外国人が来日し、産学での活躍が期待される中、首都の現状がこれではお寒い限りだ(東京に限らず日本全体に言えるが)。
小池氏、蓮舫氏、いずれが当選しても、その経験を生かして首都東京の国際化に注力してほしいと願うばかりだ。