国会議員と最高裁判事の半数を女性に

 6月頭、「メキシコで初の女性大統領」のニュースが駆け巡った。大統領の政策や今後のメキシコの政治・経済の動向を論じる前に、「女性が初めて大統領に就任した」ことを大きく報道した日本メディアが多かったように感じる。

 しかし、世界の多くの国々では女性大統領、首相はもはや当たり前になっている。米New York Timesなど英語メディアを読む限り、国家のトップが女性であること自体が大きなニュースになることは、徐々に減ってきている。

 女性の大統領・首相というと、北欧が先行している印象があるかもしれない。確かに、北欧は多くの女性首相を輩出している。現在もノルウェー首相は女性であり、フィンランドやスウェーデンでも数年前まで女性が首相を務めていた。

 他方、インドを含む南アジアにも、女性大統領や首相は多い。インド初の女性首相はインディラ・プリヤダルシニー・ガンディー氏(在任1966年1月~77年3月、80年1月~84年10月)であり、イスラム諸国初の首相としてはパキスタンのベーナズィール・ブットー氏(在任88年12月~90年8月、93年10月~96年11月)がいる。また、バングラデシュのシェイク・ハシナ氏は20年以上にわたって首相に就任している。

 さらに、近年はアフリカ諸国でも女性トップが登場している。

 リベリア共和国ではエレン・ジョンソン・サーリーフ氏が大統領を2期12年(2006年1月~18年1月)務めた。なお、11年にノーベル平和賞も受賞している。はたまた、エチオピアは大統領のほか、閣僚の過半数が女性だ(※実質的な行政権トップは首相)。

 国家のトップの話ではないが、ルワンダは女性国会議員の比率が世界トップクラス。憲法で、「国の指導的機関の地位のうち少なくとも30%を女性が占めるものとする」と定めている。

 このような世界の事例を見ると、世界第4位の経済大国であり民主主義国家である日本において、女性政治家の活躍がいかに遅れているかを実感する。国会議員のおおむね半数は女性であるべきだろう。

 加えて筆者が強く訴えたいのは、人権の最後の砦である最高裁判事における女性比率を増やすことだ。現在、最高裁判事15人のうち女性はたった3人。時期にもよるが、女性の最高裁判事は数人に留まることが多い。

 選択的夫婦別姓など、男女で立ち位置が異なる重要な憲法上の論点も存在する。最高裁判事のうち、おおむね半数は女性にすべきだろう。優秀な女性の法曹は全国各地にいる。

 最高裁判事の任命は内閣の権限だ。選挙という不確定要素のある洗礼を受ける政治家以上に、最高裁判事における女性登用は、内閣や最高裁が行おうとすれば可能なはずだ。

 有力な女性候補2人が戦う都知事選を、日本が遅れているジェンダー平等や国際化を進める契機にしていきたいものだ。